豊昇龍、横綱デビュー戦完敗「まあ、ちょっと失敗した」阿炎の引き技警戒しすぎて墓穴

大相撲大阪場所初日 支度部屋で悔しそうな表情を見せる豊昇龍

<大相撲春場所>◇初日◇9日◇エディオンアリーナ大阪

豊昇龍(25=立浪)の横綱デビュー戦は完敗だった。最近2連敗中だった小結阿炎に立ち合いから一気に突き出された。新横綱の初日は8連勝中だったが、95年初場所の貴乃花以来となる黒星発進となった。かど番の大関琴桜は若元春に寄り切られて黒星。大関以上で大の里がただ1人、若隆景を切り返しで白星と「荒れる春」の初日となった。

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なすすべもなかった。豊昇龍は「まあ、ちょっと失敗した」。引き技もある阿炎の立ち合いを警戒しすぎた。のど元を攻められたもろ手突きからの正攻法に何もできず土俵を割った。

「(阿炎は)はたきもあるからね。そのことを考えてしまった。ま、しょうがないんで。明日から集中していきたい」

横綱として初めて迎えた土俵。「緊張はそんなになかった」と言うが、前の場所までとは明らかに違った。支度部屋では横綱の指定席、東の最奥に構えた。「相撲より緊張した」という本場所で初めての横綱土俵入りも、かしわ手を打つ所作がぎこちない。「プレッシャーはもちろんある。でも初日は終わった。明日から自分らしい相撲をとれるよう、しっかりやります」と切り替えを強調した。

「横綱」という看板の重みを日に日に感じる。初日前日は「わくわくしているけれど、怖いは怖い。やるしかない」と率直な心境を明かしていた。この日朝は稽古場に下りたが、報道陣は完全シャットアウト。「場所中は(朝の稽古後の)取材はないです」と自らNGを出した。じわじわと忍び寄る「横綱」の重圧と心の中で闘っていた。

2日目も相撲巧者の若隆景と難敵が続く。右肘には分厚いサポーター。優勝した先場所千秋楽に痛めた。不安を抱えたままの土俵だが、「痛い痛いと言い訳にしたら意味がない。みんな何かしらの痛みを抱えている」と弱音は口にしない。

横綱として喜びも苦しみもすべて「勉強」と位置づける。春場所前の番付発表会見で「横綱のプレッシャーとかすべて体で感じたい。負けても何があっても休場しない」と宣言した。それは「横綱」としての覚悟を示す言葉だった。「勝つ負けるの世界だから(負けるのは)しょうがない。自分らしい相撲をとれるようしっかりやります」。横綱豊昇龍は「負け」から極みを目指す道に踏み出した。【実藤健一】

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