大関経験者で幕下の朝乃山、今場所初の連勝で勝ち越し決める 来場所の十両返り咲きに大きく前進

朝乃山(右)は五島を上手投げで破る(撮影・森本幸一)

<大相撲名古屋場所>◇11日目◇23日◇IGアリーナ

大関経験者で西幕下筆頭の朝乃山(31=高砂)が、今場所初の連勝で勝ち越しを決め、来場所の十両返り咲きに大きく前進した。東幕下9枚目の五島に立ち合いから右を差し、最後は左からの上手出し投げで仕留めて4勝2敗とした。ただ、十両再昇進を確実とするには、残る1番を勝って終わりたいところ。それだけに取組後は開口一番「あと1番ある。その白星が大事。次の取組の準備をしていきたい」と、喜びの表情は見せずに、気を引き締め直していた。

十両で休場中の水戸龍、生田目が、来場所は幕下転落、入れ替わりで2人は幕下から昇進できることが確実。他にも前日10日目までに、すでに負け越している志摩ノ海、大辻、負け越しに後がない大奄美、負け越せば幕下転落は避けられない5勝5敗の宮乃風らの成績次第で、さらに十両に昇進可能な枠が広がる可能性がある。また、東幕下筆頭の旭海雄がこの日、勝ち越しを決めて新十両昇進を確実としたため、残りは1枠の可能性もあるが、最大5枠程度にまで広がる可能性もある。朝乃山にとっては弟弟子にあたる、石崎、朝白龍ら幕下上位の好成績力士との兼ね合いなどにより、千秋楽から3日後の秋場所の番付編成会議後に、十両昇進力士が発表される。

今場所の朝乃山は、勝ったり負けたりを繰り返してきた。初日は先場所十両だった幕下の夢道鵬を破ったが、2日目に十両荒篤山に敗れた。その後も5日目に旭海雄を破ったかと思えば、7日目に北の若に敗れ、勢いに乗り切れていなかった。だが9日目の伊波戦で目の覚めるような快勝。右を差すと一気に走って寄り切った。この取組後は「負けたことを引きずらないことが大事と思っていた」と心機一転、臨んでいたと明かした。

それでも快勝した伊波戦後は「勝ち越し王手だけど遅い。本当は4連勝しないといけないのに…」と、思うように星を伸ばせていない現状への、もどかしさを口にしていた。幕内だった昨年名古屋場所で、左膝前十字靱帯(じんたい)断裂などの大けがを負い、今年春場所で三段目から再起。先場所まで装着していた左膝の装具は、今場所から外したばかりで、まだ、恐る恐る前に出たり、残したりという状況だ。それでも装具に頼らず、持ち前の柔らかさなどを生かすために、将来を見据えて外した。再発を懸念していることもあり、相撲勘が戻りきっていないところもある中で、七番相撲を残して勝ち越した。

前日22日の10日目、40歳の前頭玉鷲が、横綱大の里を破って金星を挙げたことも「40歳になっても、金星を取ることができると示してくれた。全ての力士のお手本」と、刺激になっていた。その玉鷲が勝ったことを伝える、インターネット上の記事も多く読んだという。「玉鷲関は、勢いのある若い力士との対戦を『ワクワクする』と言っていたのを見た。今日の相手の五島は、今年の春場所が初土俵ですよね? 自分も若くて勢いのある力士との対戦を、そう考えようと思って臨んだ」と、緊張はしたが、気持ちは前向きだった。

ともに弟弟子の東幕下2枚目石崎は5勝1敗、東幕下3枚目の朝白龍は6戦全勝と、五番相撲に続き、3人が同日にそろって勝った。高さ部屋から十両トリプル昇進が現実味を増し「部屋もいい雰囲気。みんな、あと1番が大事になってくる」と、力説した。まずはもう1番勝って、さらに十両昇進の可能性と、来場所の番付を上げるつもりだ。