大の里、横綱初Vへ快勝発進「前面に置くことが大事」新三役安青錦の得意の形にさせず寄り倒す

大の里は安青錦(左)を寄り倒しで下す。後方は土俵下控えの豊昇龍(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇初日◇14日◇東京・両国国技館

横綱昇進2場所目の大の里(25=二所ノ関)が、いきなり組まれた今場所を占う大一番を快勝し、絶好のスタートを切った。新三役の小結安青錦との2度目の顔合わせを寄り倒し。初顔合わせの先場所に続き、ウクライナ出身の新鋭を圧倒した。2人は先場所、平幕優勝の琴勝峰に及ばなかったが、ともに11勝4敗で優勝次点。優勝候補対決を快勝し、横綱として初優勝へ大きな1勝を手にした。

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横綱の使命を果たした。大の里が再び、安青錦の壁となって立ちはだかった。もろ手突きの立ち合いで圧力勝ち。先場所は、そのまま吹っ飛ばした安青錦に、1度は持ちこたえられた。だが大の里は止まらない。右を差して再加速。最後は勢いのまま覆いかぶさって寄り倒した。

「1回(相手が突っかけて)待ったがあったけど落ち着いて取れた。(相手を)前面に置くことが大事と思っていたのでよかった」。相手と正対し、相手が得意とする低い姿勢から懐に入る形にさせなかったことを勝因に挙げた。

相手は先場所までに、史上3人目の新入幕から3場所連続三賞受賞という伸び盛りだ。ただ大の里は、その上をゆく史上最長、新入幕から5場所連続の三賞。それまで最長だった千代天山(故人)の同3場所を超え、そのまま三賞受賞資格のない大関に昇進した。年6場所制となった58年以降で付け出しを除き、安青錦の初土俵から所要12場所での新三役昇進は最速。ただ大の里は幕下10枚目格付け出しの初土俵とはいえ、大関も横綱も昭和以降、最速での昇進。記録の面だけではなく、実力でも安青錦を上回る存在感を示した。

新横綱だった先場所は、苦い記憶が残った。2度とチャンスがない新会場IGアリーナでの初代優勝も、師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)とその師匠の元横綱隆の里に続く3代連続の新横綱優勝も逃した。ただ、8月の夏巡業中に、内心を打ち明けたことがあった。「苦手の名古屋で11勝したことを前向きにとらえたい」。初土俵以来、名古屋場所は大の苦手。幕下時代は3勝3敗から何とか勝ち越し、関取では9勝止まり。成長が止まったわけではないと、誰よりも自身が感じていた。

新鋭が現れれば、もてはやされるのは世の常。ただ「自分を信じて、目の前の相撲に集中することだけ考える」ときっぱり。ウクライナの新鋭の上をゆく“本物の強さ”を示し、横綱初優勝が早くも、現実味を帯びてきた。【高田文太】

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