<大相撲九州場所>◇7日目◇15日◇福岡国際センター
大関経験者で西十両4枚目の朝乃山(31=高砂)が、486日ぶりの幕内土俵で、勝ち名乗りを受けた。初顔合わせの西前頭14枚目時疾風を破って5勝2敗。相撲巧者を相手に右を差せなかったが、左は抱えて前に圧力をかけ続けた。流れの中で右を差すと、振りほどこうとする相手を逃さず、体を預けて倒れ込みながら寄り切った。「常に圧力をかけられた。相手が左上手を取りにくるのが見えた。そこで休まず攻められた」と、前に出続けたことを勝因に挙げた。
今場所は連敗発進したが、3日目から5連勝を飾った。朝乃山の幕内土俵は、東前頭12枚目で臨んだ、昨年7月17日の名古屋場所4日目、左膝を大けがした一山本戦で敗れて以来。幕内で勝ち名乗りを受けたのは、同場所3日目の美ノ海戦以来、487日ぶりとなった。
この日、福岡市内の部屋で朝稽古を終えた朝乃山は「いつも通り。特に気持ちの高ぶりとかはない」と、約1年4カ月ぶりの幕内土俵でも気負いはなく、前夜もぐっすりと寝られたと語った。取組後も「いつも通り」と、冷静に取れたと振り返った。一喜一憂しないのは「いずれ15日間、幕内で取りたいので」と、観客も十両土俵よりも増えた中で取ることを、当たり前に感じたい思いの強さをにじませていた。目指しているのは、この日の幕内前半ではなく「また(午後)5時以降に取りたい」と、幕内後半土俵への復帰を目指すからこそ、特別な感情を抱いている暇はなかった。
時疾風とは、朝乃山が時津風部屋に出稽古した際、相手がまだ若い衆だった当時に胸を合わせていた。188センチ、165キロの自身よりも、身長は9センチ低く、体重は33キロも軽い相手。朝稽古後の朝乃山は「けんか四つで相撲がうまい。うまさに勝つには馬力しかない。体を生かした大きな相撲を取っていきたい」と、取組前まで幕内で5勝1敗と好調の相手を警戒していた。
大けがした左膝に違和感はないが、念のために「3日に1回、治療してもらっている」と、針などは使わずにマッサージしてもらっている。疲労が蓄積する前に予防し、コンディションの維持に努めている。
左膝の大けがから長期離脱し、今年3月の春場所で三段目から再起した。関取に復帰した先場所は、わずかに届かなかったが千秋楽まで十両優勝争いに絡み、12勝3敗の好成績だった。今場所で2桁白星を挙げれば、来場所の再入幕の可能性が出てくる。「今場所で再入幕を決めたい自分がいる。最初の2連敗は歯がゆかった。家族や親方、いつも応援してくれる方々のためにも恩返ししたい」。幕内土俵に1場所でも早く戻りたい思いも、このまま連勝街道を突き進みたい思いも、日に日に強くなっている。