連敗止めた!大の里「吹っ切れて思い切りいけた」無の境地で難敵王鵬に完勝 優勝争いトップ守る

大の里(左)は王鵬を寄り切りで下す(撮影・小沢裕)

<大相撲九州場所>◇12日目◇20日◇福岡国際センター

主役は譲らない! 横綱昇進3場所目で、初の連敗中だった大の里(25=二所ノ関)が、難敵の関脇王鵬を寄り切って10勝目。横綱豊昇龍、関脇安青錦と2敗で並んで、優勝争いのトップを守った。取組前まで5勝3敗と、決して得意ではない相手に完勝。今年6場所全てで2桁白星に乗せた。すでに9月の秋場所中に年間最多勝が確定していたが、近年では珍しい年間70勝の大台到達。吹っ切れた現役最強力士は13日目、大一番の安青錦戦に臨む。

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迷いの吹っ切れた大の里は、強かった。立ち合いで右をのぞかせると、グイグイと前に出続けた。王鵬のいなしにも体勢を崩さず、のど輪に上体をのけぞらせても動じない。がら空きになった右脇を左でおっつけると、一瞬、177キロの相手を宙に浮かせ、そのまま寄り切りで完勝。10日目は前頭義ノ富士に完敗で金星を配給、11日目は負け越し決定の小結隆の勝に、足を滑らせたように前のめりに倒れて連敗した。それでも中2日で強さを取り戻した。

「落ち着いて、慌てずに取れた。左のおっつけが、さえていた。昨日、一昨日(10、11日目)と、左からの攻めができなかったので厳しくいけたと思う」。取組後、つきものが取れたように晴れやかな表情で話した。3連敗となれば昨年初場所以来、1年10カ月ぶりの屈辱。当時は新入幕で快進撃を続け、横綱照ノ富士(当時)を含む、役力士に挑戦しての3連敗だが、横綱としての3連敗は意味が違う。屈辱を回避した。

迷いや苦しみ-。この日の朝稽古では、人間の煩悩の数といわれる108回、除夜の鐘のごとく、てっぽうを打った。28、32、24、24回と4度に分けて打ったてっぽうは、偶然か必然か108回。場所中の朝稽古は、ほとんど体を動かさないことも多いが、連敗に、いてもたってもいられず、大粒の汗を流した。左のおっつけの動きを確認しながらの、短いすり足も繰り返した。人事を尽くして天命を待つ-。この日の取組に際しての心境を問われ「吹っ切れて思い切りいけた」と“無の境地”と語った。

今年積み上げた白星は、この日で「70」となった。師匠の最多「69」を超えたが、大の里は優勝回数など師匠超えを果たす度に「ただの数字。師匠には遠く及ばない」と語ってきた。それでも年間70勝は、近年では照ノ富士しか届いていない。平幕優勝も多かった、近年の群雄割拠の時代の終わりを告げる大台。日本出身では96年の横綱貴乃花以来、29年ぶりの年間4度目の優勝で、飛躍の1年を締める決意だ。【高田文太】

◆近年の大相撲年間最多勝 今年の年間最多勝は、大の里が早々と秋場所中に確定させた。この日で大台の今年70勝目。10年前の15年以降で、年間70勝に到達したのは、関脇から横綱まで一気に番付を上げた21年の照ノ富士だけ(77勝)。照ノ富士の70勝超えは、14年に81勝の横綱白鵬、71勝で大関から横綱に昇進の鶴竜以来、7年ぶりだった。歴代最多勝は白鵬が09、10年と2度記録した86勝(4敗)。大の里は師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)が唯一の年間最多勝に輝いた、16年の69勝を上回った。

八角理事長(元横綱北勝海) 大の里はこれからだろう。13日目の安青錦戦が今場所(の優勝争い)を左右するかもしれない。どんな相撲になるか早く見てみたい。豊昇龍は焦らず、我慢していった。安青錦は気持ちにぶれがない。

【動くグラフ】大の里、豊昇龍、安青錦が並ぶ 大相撲九州場所優勝争いをモーションイラストで!

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