<大相撲夏場所>◇9日目◇18日◇東京・両国国技館
大関霧島(30=音羽山)が若元春を寄り倒しで下し、額から鮮血を流しながら勝ち越しを決めた。土俵際で相手のうっちゃりに遭い、落下の際に顔面を強打するアクシデントが発生。それでも最後まで攻め切り、前日の逆転負けを引きずることなく白星をつかんだ。1敗で並んでいた若隆景、翔猿が2敗に後退し、再び単独首位に浮上した。
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土俵下で霧島はすぐには立ち上がれなかった。勝負が決した直後、勢い余って前方へ一回転するように真っ逆さまに転落。向正面の踏み俵に顔面を強打し、苦悶(くもん)の表情を浮かべる痛々しい姿に、館内は一時騒然となった。
ようやく立ち上がって土俵へ戻ったものの、額や鼻のあたりは擦りむけ、鮮血がにじんだ。口の中を気にする様子も見られ、支度部屋の風呂場からは「あーっ」という声も上がった。それでも本人は「これくらいで済んで良かった。もっと深く入っていたら分からなかった。一瞬クラッとなったけど、時間が経って良くなった。全然大丈夫」と気丈に話し、大事に至らなかったことを強調した。
前日は優位な形をつくりながら豪ノ山に逆転負けで初黒星。悔しさの残る一番だったが、この日は引きずらなかった。土俵際に追い詰められた若元春のうっちゃりに対し、両者が激しくもつれ合う際どい攻防となったが、最後は霧島が気迫の寄り倒し。「昨日は昨日。すべて忘れて、今日の取組に集中した。何とか勝てて良かった」と振り返り、白星につなげた。
9日目を終えて8勝1敗。「とりあえず勝ち越せて良かったです」と話した。1敗で並んでいた若隆景、翔猿が敗れ、再び単独首位に浮上。2場所連続優勝も視野に入るが「考えずにいつも通り」と言葉はあくまで冷静だ。流血の激闘を乗り越えた大関が、優勝戦線の主役であることをあらためて示した。【山田遼太郎】