<大相撲夏場所>◇千秋楽◇24日◇東京・両国国技館
小結若隆景(31=荒汐)の25場所ぶり2度目の優勝の裏で、急きょ千秋楽限定で付け人として召集されたのが、幕内経験者で兄弟子の西幕下3枚目荒篤山(32=荒汐)だった。荒篤山は千秋楽に、3勝3敗から勝ち越しを掛けた七番相撲があったが、荒篤山は「昨日(14日目の23日)の夜に『お願いします』と電話がかかってきて、付け人をすることになりました。信頼されている気がして、うれしかったですよ」と、快諾した。
結果的に荒篤山は、千秋楽の自身の取組は敗れて負け越したが、気落ちした様子は一切見せず、献身的に弟弟子をサポートした。気が利く上に、何よりも明るいムードメーカー。ただ、若隆景の付け人も長く務めていただけに、若隆景が支度部屋で目を閉じ“集中モード”に入ると、息を潜めて存在感を消す、まさに空気を読む達人だ。
急ぎ足で若隆景、若元春が優勝パレードに向かうと、最後に支度部屋を見渡し、忘れ物をチェックした。すると信じられないことに、優勝の副賞、銀色の巨大な大盃が放置されていた。すでに自身のバッグ、技能賞のトロフィーを手にし、これ以上、運ぶことは困難な状況だったが、相撲界屈指の“人たらし”。満面の笑みで報道陣2人に手伝いを頼み込んで仲間に引き入れ、無事に“しんがり”として、撤収作業も全幅の信頼に応える完璧な仕事ぶりだった。ひとしきり仕事を終え「優勝して、本当によかった…」と、自分のことのように再び満面の笑みを見せていた。