力士の待遇改善へ、巡業用の特注バス贈呈か?!/西村誠司社長と対談1

対談で笑顔をみせる、にしたんクリニック西村誠司社長(撮影・野上伸悟)

「にしたんクリニック」「イモトのWiFi」で知られるエクスコムグローバルの西村誠司社長(56)が、大相撲への愛を語りました。このほど、日刊スポーツの大相撲担当・佐々木一郎記者と対談。そのもようを3回にわたって連載します。第1回は、懸賞をかけた理由と力士の待遇改善について。移動が過酷な巡業を乗り切るため、特別シート付きのバスを贈呈するという構想を明かしてくれました。

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佐々木 夏場所では、「にしたんクリニック」の懸賞が多くかけられ、特に11日目は幕内の全取組に5本ずつ申し込まれました。これはインパクトありましたね。

西村 ありました? 11日目の時は、もう真ん中あたりになったらあきられているんじゃないかと心配していました。その後、伊集院光さんがラジオ番組で「本当に懸賞がすごかった」って語ってくれたんですよ。ちょうど当日、砂かぶりで観戦していたらしくて。終わった後は、周りのお客様から「いやもう社長、本当に本当にすごかったね」って声をかけていただきました。

佐々木 アイデアがすごいと思いました。全取組に5本ずつかけるというのは、初めてのことでした。

西村 私自身は、すごく派手に、家にしても広告にしてもやってるじゃないですか。ただ、こと大相撲に関しては、もう絶対に控えめにいかなきゃいけないなという思いがあります。実は全取組に懸賞をかけることは、心の中で引っかかりはあって、どうしようかと結構考えたんですよ。相撲文化を考えた時に、あんまり目立っちゃいけないというか…。ちょっと寡黙な…、藤島部屋がそんなところあるんですね。あえてホームページすら作らないみたいな。ちょっとミステリアスで。

佐々木 ちょっと、失礼な言い方かもしれないですが、西村社長らしくない。

西村 そうなんですよ。世間はそういうイメージじゃないかもしれませんが、意外と場をわきまえられるんですよ。だから懸賞をフルジャックする時も、藤島親方(元大関武双山)が広報部長になられたのもあって、迷惑はかけたくない思いがあるんですよ。だから、名古屋場所でも(懸賞は)どうですかと、いろんなお声がありますが、理由がない限りは、あれはあんまりやりたくない。派手に悪目立ちしたくないなっていう気持ちです。私はほかでは目立つように意図的にやってますが、大相撲のいわゆる後援者としては極力目立たないようにとは思ってるんですよね。

佐々木 実際、夏場所の懸賞の件は、藤島親方から何か言われたんですか。

西村 いや、それはないですね。でも意図は前もお話したように、力士の待遇改善です。力士が今はずいぶん減って約600人になって、ほかのプロスポーツに比べても、給料が安いと思うんですよ。昭和の時代だったら、派手で豪快なタニマチの方々がいろいろと支援してたけど、今の時代はそうじゃない。理想を言ったら、幕内に上がった力士は6000万~8000万、できればみんな1億ぐらいになってもいいのかなという思いがあります。力士が日本文化をこれだけ支えて、もうケガと隣り合わせで頑張っていることをもっと評価してもいいんじゃないかというリスペクトがあります。給料が上がらないなら、懸賞の部分でさらに増やしてあげたらいいんじゃないか。これが呼び水になって、全取組と言わなくても、企業スポンサーがもっともっと増えて、懸賞が入るようになってくれると、関取を目指してるような序ノ口から幕下の力士も含めて、もっと頑張れるのかなとか。そこで懸賞を得た力士たちが、後輩力士たちにお小遣いあげたりとか、ご飯に連れてってあげたりして、お金が染み出してくれると、全体的な部分がより良くなるんじゃないかなっていう、そういった思いがあります。

佐々木 そうですね。社長にお話をうかがってすごくいいなと思ってたのは、そこなんですよ。これも言い方は失礼になってしまうかもしれませんが、金のばらまきで目立ちたいということではなくて、その裏に力士の待遇改善につなげたいんだっていう思いを聞いた時に、相撲ファンの共感も得られるのではないかと思いました。

西村 心なしか、あの日(夏場所11日目)の19番、かなり取組内容が良かったと思うんですよ。だから大きくは言えないけど、やっぱ懸賞がかかってるのは、その取組内容に影響あると思いました。いい相撲が多かったなって思ったんですよね。

佐々木 懸賞が多くかかっている時は、気合の入り方が違うというのは、よく聞く話ですね。懸賞が多くかかる人気力士は狙われるというのも昔からありますね。

西村 昔の高見盛さんがそうですね。

佐々木 そうです。だから、言われてみると、そういったプラスの効果はあったかもしれません。あの日の19番にかけた懸賞金の合計は700万円弱です。西村社長は広告としては安いとおっしゃっていました。

西村 安いですよ。やっぱり日本伝統文化を支えていってるという誇りだったり、社員に対しての説明だったりって、私はすごく効果があると思っています。

佐々木 西村社長が指摘されたとおり、力士の給料は、確かに安いかもしれません。

西村 私は本当に、プロレスラーとお相撲さんって過酷だなと思っています。何か保証があるわけでもありませんし。ほとんどが関取になれなかったり、幕下にも上がれなくて引退するケースもあります。と考えた時、上にいったらもっと夢があってしかるべきじゃないかなと。私は、まず入門してくれたことで、600人全員の力士に対するリスペクトがあります。それを考えるともっともっと、夢があってもいいんじゃないかな。

佐々木 横綱は月給300万円。もちろん、そのほかの手当なども付きますし、優勝したり、懸賞を獲得していけば年収は億単位になりますが、ほかのプロスポーツのトップと比べると少ないですね。

西村 去年、阪神甲子園球場に行った時に、野球名鑑を読みました。12球団の選手の年俸も書いてあるじゃないですか。こんなに1億円プレーヤーっているんだって思ったんですよ。だから力士の場合、平幕で6000万ぐらい、三役で8000万台で、横綱だったらベース1億みたいな。懸賞を入れてくと、それこそ三役ぐらいやったら、軽く、1億、2億はいくみたいなイメージです。

佐々木 力士の給料って、実はもう何年も据え置きのままなんですよね。

西村 あと、巡業の移動する時のバス、あれは何とかした方がいいなって思います。それこそ特注の、すごいでかいシートだけのバスを、例えば4台作るとか。

佐々木 それはできそうな気がしますね。

西村 今は巡業が多いからケガも多いという指摘があります。それか正しいかどうかはさておいて、移動をもっと快適にさせてあげたい。富裕層向けのバスツアーには、サルーンバスみたいなのがあって、それ見るとめちゃくちゃシートがでかいのが現存するわけですよ。これ4台買えばいいのにって思うんですよね。

佐々木 確かにそうですね。毎回、バスをチャーターしてるわけですから、長い目で見れば、そんなに悪い話じゃないかもしれないです。若い衆なんかは、体の大きさ関係なく、補助席に座ることがありますし。力士も喜びますし、ファンの共感も得られる気がしますね。

西村 何も言われなかったら、どっかでプレゼントしようかな。バスを作ってね。

佐々木 それはめちゃくちゃ喜ばれると思いますよ

西村 4台じゃなくても、例えば抽選でね、それでみんなで順繰り乗ったら面白いじゃないですか。1台作って協会に寄付したら、それが呼び水になって、じゃあ協会も作ろうってなってくれるといい。ほかの大物タニマチの方が1台ずつ協会に寄付してくれれば。

佐々木 これ、文句言う人は誰もいないような気がします。(つづく)

◆西村誠司(にしむら・せいじ)1970年(昭45)5月20日愛知県生まれ。生活保護を受ける家庭に育ち、中学から新聞配達。名古屋市立大経済学部卒業後、93年アクセンチュア入社。95年に起業。モバイル通信サービス「イモトのWiFi」、メディカル支援サービス「にしたんクリニック」「にしたんARTクリニック」など、さまざまな事業を展開している。現在の年商は333億円にまで成長。TikTokフォロワー数8万。