<大相撲名古屋場所>◇14日目◇25日◇IGアリーナ
関脇熱海富士(23=伊勢ケ浜)が、同じ3敗だった獅司を退けて11勝を挙げ、優勝の可能性を残した。尊富士を下した関脇安青錦(22=安治川)が2敗で単独トップ。横綱豊昇龍の休場で大関霧島(30=音羽山)も3敗を守り、優勝争いは3人に絞られた。熱海富士は中日から6連勝。千秋楽は安青錦との直接対決で、勝てば決定戦にもつれ込む大一番となる。逆転Vへ望みをつないだ。
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付け入る隙を与えなかった。右上手を求めて立ち合いで動いた獅司を、熱海富士は逃さない。左をのぞかせ、右おっつけで押し上げる。相手の形になる前に、勝負を決めた。同じ3敗。負ければ遠のく優勝争いで、相手の狙いを丸ごとつぶした。
3敗目を喫した霧島戦から、白星だけを重ねて6連勝。11日目の横綱大の里戦では、圧力を全面に出して勝ち切った。年寄の楯山親方(元幕内誉富士)はその出足について「あの力と体があって、出足が良ければ強いですよね」と評価。「考える相撲を取らせないことが大事。それができている」と、相手に考える間を与えない出足を見ていた。この日の一番にも、尾上審判長(元小結浜ノ嶋)は「いい相撲でしたね。まだ(獅司と)力の差がある感じに見えました」と評価した。
支度部屋では、テレビに視線が集まる。優勝争いトップの安青錦と、同部屋の尊富士との一番。尊富士が土俵際まで追い込むと、熱海富士は小さく「うぉっ」と声を上げた。それでも白星は安青錦に転がり、最後は付け人と「あっー」と声を漏らした。戻ってきた尊富士とは少し距離を置いて並び、リプレーを見守る。言葉はない。支度部屋には、終盤の張り詰めた空気が残った。
千秋楽は安青錦戦。過去5戦で1勝4敗と分は悪いが、その1勝は最後に対戦した3月の春場所で挙げている。勝てば決定戦。霧島も加わる可能性もあり、さらにその先の白星も求められる。優勝なら静岡県出身力士として初の賜杯(しはい)となり、来場所は大関とりにもつながる。伊勢ケ浜部屋は幕内、十両、幕下で優勝の可能性を残しており、その勢いにも乗って、熱海富士が最後も圧力でこじ開ける。【山田遼太郎】