現役最重量力士252キロの出羽ノ城が引退、今後は「オファーお待ちしています」

塵手水(ちりちょうず)を切る出羽ノ城(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇14日目◇26日◇東京・両国国技館

現役力士最重量252キロで、西三段目67枚目の出羽ノ城(32=出羽海)が、現役引退を決意した。14日目に西三段目63枚目の鳩岡と対戦。寄り切って勝った一番が最後の取組となった。東花道の奥では、出羽海部屋の力士たちに出迎えられた。「僕の相撲人生は序ノ口で負けてから始まった。勝って締められたのは良かったと思います」と笑顔で締めくくった。

体も心も限界に近づき、引退を決断した。これまでに右肩や胸の筋断裂の受傷歴があり、右足首の靱帯(じんたい)も痛めたことがある。「治療をしても、手術を受けても再発する可能性がある。力士でいるうちは、完全には回復しないと言われました」。昨年、母方の祖父・早瀬秀雄さんが88歳で死去。「自分が初孫ということもあり、一番応援してくれていました。そんな祖父が亡くなって、気持ちの面で影響がありました。2、3年前からそろそろ限界かと感じ、いつまでも相撲界に甘えていられないと思いました」。

栃木県河内郡上三川町出身。栃木・壬生高野球部の一塁手だった。対戦高のOBだった出羽海部屋後援者から「身体の大きい子がいる」と連絡を受けた当時の出来山親方(元関脇出羽の花)が、高校までスカウトに来た。大相撲に興味はなかったが、2012年初場所初日の朝稽古を見学したところ、気持ちが変わった。「そこで相撲ってすごいと思いました」。同年春場所、初土俵を踏んだ。

あれから14年半-。最高位は東幕下44枚目。御嶽海の付け人として、長く部屋の看板関取を支えてきた。「たくさんのいい思いをさせてもらった。幕内優勝もみせてもらった。僕の中では、一番かっこいい関取です」。自身の思い出の取組は、いくつもある。「旭富士とも丹治ともやりました。彼らの上り調子の時にやれたことは、やめたあとも周りの人に言えると思います」。

現役最重量の体重252キロについては、あまり話題になることを好まなかった。「すごい嫌でした。重いことで有名になったみたいなもんですが…、良くも悪くも目立つ。あんまりメンタルが強くないので、何か言われたらコロッと調子を落とすこともありました」。勝って当たり前、小兵に負けると引き立て役として扱われることがあった。巨漢にしか分からない思いを抱えながら土俵に立ち続けていた。

関取になることは夢に終わった。「理由がどうであれ、あきらめてしまったのは自分。できなかった分、部屋の子には悔いのないように、ケガをしないようにやってもらいたい」。後輩たちに希望を託した。

引退後は50キロ以上、減量することが目標。「いずれは地元に帰って、祖父がやっていた農業をやってみたい。チャレンジしたいことはいっぱいあります」。現在は、祖母と叔父がイチゴ農家を営んでいるという。巨体ゆえにタレント業からも誘いがあり、相撲ショーなども候補の一つ。「できることからやらせてもらいます。オファーお待ちしています」。千秋楽の翌28日、出羽海部屋で断髪する。

 ◆力士と体重 出羽ノ城の最高体重は2020年に計測した258・8キロ。歴代4位になる。歴代の重量力士は1位が292・6キロの大露羅、2位は285キロの小錦、3位は277・2キロの山本山。現役最重量だった出羽ノ城が引退することで、来場所からは224・5キロの肥後ノ龍(木瀬)が最重量力士になる。

【佐々木一郎】