<プロ野球OBクラブ主催の野球教室レポート②>
前回に続いて、日本プロ野球OBクラブが主催する「大東建託 全国中学校野球教室」の様子を紹介します。12月3日、山梨・南アルプス市の八田中学校グラウンドで行われました。
講師は元大洋、横浜の市川和正さん(64)、元楽天の礒部公一さん(48)、同じく山村宏樹さん(46)、そして元ヤクルト大引啓次さん(38)でした。
大引さんは内野守備を指導する際、すぐにグローブを使いませんでした。ボールを上に投げて両手で捕ったり、2人1組で左右にボールをトスし、体幹を意識しながら捕球するなどのドリルを繰り返しました。
「守備で大切なのは『捕る』『投げる』を分断しないこと。それを言葉ではなくドリルで教えていきたいんです。守備練習=ノックではなく、運動能力を高めるドリルなどもあります。私は現役を引退してすぐ、大リーグ球団に研修に行きました。あれが非常に大きいですね」
大引さんは2019年で引退し、翌20年に日本ハムの特別研修コーチとしてレンジャーズに派遣されました。新型コロナウイルスがまん延した影響で、予定よりも早い帰国になりましたが、貴重な経験になったようです。
その後、日体大の大学院に入り、コーチングを学びながら、同大野球部の指導もしています。
「経験則だけでなく、あらためて言葉にすることの難しさを感じています」
この日の野球教室で印象に残った大引さんの言葉があります。ボールが予測と逆方向にきたとき、あきらめてしまう選手たちに声をかけました。
「守備でも、出塁時にけん制で逆をつかれても、最後までやりきろう。遅れても、プレーをあきらめないで最後までやりきる。そこからチャンスが生まれるんだ」
元プロ選手から学ぶのは技術ばかりではありません。むしろ、こうした姿勢こそ実践してほしいと思います。
礒部さんは、キャッチボールの重要性を強調していました。
「1歩目の早さ、足を動かして捕るなど、キャッチボールにはすべての守備に通じる基本形が詰まっているんですよ。指導者を含めたチーム全体で意識することでレベルが上がっていくはずです。これは、プロのコーチをしている時も同じように言っていました」
打撃の指導では「構え」「タイミング」に絞って伝えていました。
「構えでは『打てる』と自信を持って打席に入ること。下半身を使ってタイミングを取ること」
この日はトス打撃、ロングティーを行いましたが、ボールが手元にくるまで動きださない選手が多々いました。トスを上げる動作に合わせて始動するよう、アドバイスを繰り返していました。
「プロのベテラン選手になっても、基本を反復する選手はいます。要するに基本を飛び越えてうまくはならないということ。小中学生のうちに基本を大切にする習慣をつけておけば、その後の野球人生が違ってきますよ」
約3時間に及ぶ指導を受けた選手たちには、大きな刺激を受ける機会になったようです。
山村さんの出身校、敷島中の主将を務める鈴木壽人投手(2年)は「山村さんに、投げるときに右足(軸足)の送り出しを教えてもらいました。実践したら前よりいい球が投げられるようになり、とても勉強になりました。今後キャッチボールから意識して、試合に生かしていきたいです」と感想を口にしました。目標とする選手には「山村宏樹さん」と、先輩の名前を口にしていました。
また、白根巨摩中の主将、米山玲桜捕手(2年)は、市川さんから構えを褒められたといいます。
「ランナーがいない時は、構えがいいと言ってもらいました。ランナーがいる時は、これまで斜めに構えていましたが、正面で構えた方が投手が投げやすいと言ってもらいました」
スローイングでは、課題を矯正してもらったそうです。
「スローイング時に、またぐ癖が課題で、足が開いてしまっていた。市川さんが1人1人に線を引いてくれて指導してくれた。線に足を合わせてみると、送球にコントロールがつきました。『今日だけでうまくならない』と言われたので、今日教わったことを毎日やっていきたいと思います」
日本プロ野球OBクラブは全国各地で野球教室を開催しており、コロナ禍で対面指導ができない時期はオンライン指導も取り入れていました。
このような機会が増え、野球の発展につながっていけば喜ばしいことです。【飯島智則】