松坂も宮城も落とした!「力むな」「力を抜け」と言うのは簡単だけど…ボールを握る加減とは?

<コラム「輝け!少年野球の星」>

年末の「プロ野球好プレー珍プレー」でオリックス宮城大弥投手が投球の途中で、左腕が体に当たってしまい、ボールがグラウンドを転々とする場面があった。ゲスト出演していた宮城投手は「カーブでした。なんとか最後まで投げようと思ったんですが、ダメでした」と説明していた。カーブの握りは、中指と親指だけでボールを支ええているそうで、当たったはずみで落ちてしまったそうだ。

西武松坂大輔投手が落としたのを目撃したことがある。試合後に聞くと、直球の握りで、テイクバックの際に太もも付近に当たった弾みで落としたそうだ。最速156キロの右腕が、ボールを落としてしまうとは、どれぐらいの力感で握っているのだろう。聞けば「けっこう軽くですよ。触れるぐらいの感覚かな」と、目の前で見せてくれた。握ったままのボールを抜かせてもらったら、あっさりこちらの手に渡ってきた。快速球の始まりは、ごくごく軽い握りだった。宮城投手はカーブだったが、最初から力を入れて握っても鋭いスピンはかからないのだろう。

一昨年、学童野球の監督をしていると、投球中の投手がボールを落とした。失笑する人もいたが、「いいねえ。松坂級だね」と褒めた。全盛期の松坂投手を知らない世代だが、説明したら、それからはギュッと握らず、コントロール、スピードとも安定するようになった。

誰もが選手に「力むなよ」と声をかける。「リラックスしろよ」の意味あいが多いだろうが、実際に力を抜かないとリリースやインパクトの瞬間に、うまくボールに力が伝わらない。打撃も投球も守備も、いいプレーをするためには「力を抜くこと」を挙げるプロ野球選手が多い。ただし、その力加減はウェブ動画を見たり、技術書を読むだけではわかりにくい。「力を抜く」のは教えるのも、覚えるのも難しい。

これまでの取材や経験を通じて、「力加減」が分かる例を思い出したら、当欄で紹介します。力まず探しますので、少々お待ちください。【久我悟】