ポニーリーグの試合で「ペッパーミル」。ポーズだけじゃない、中学球児を刺激する侍の姿

鹿沼ポニー

<キリンビバレッジカップ2023 第47回ポニーリーグ関東連盟春季大会>

◇3月12日◇千葉・柏の葉公園野球場ほか◇A、Bブリーグ戦

 決勝トーナメント進出を目指して、各球場で熱戦が繰り広げられた。

 柏の葉公園野球場では第1試合AリーグBブロックの好カード、羽田アンビシャスと宇都宮ポニーが激突。羽田Aが5回に5点を奪い逆転の6―3で宇都宮を破った。ほかに同Fブロックの茅ケ崎BCは、鹿沼ポニーを最終回に1点勝ち越し5対4で勝利。BリーグS2ブロックの香取ピグレッツポニーは13―0で初出場の東京インディペンデンツポニーをコールドで破った。

 点差はいろいろだが、どれも熱戦。感度の高い中学生らしく、いつものガッツポーズだけじゃなく、こぶしを重ねてゴリゴリ動かす「ペッパーミルポーズ」が随所に飛び出した。WBC日本代表のヌートバー外野手のパフォーマンスだ。侍ジャパンベンチにあっという間に広がったように、味方を鼓舞すると同時に、一致団結の象徴のようになっている。

 この日は宇都宮ポニーの加藤志選手と大村優弥選手が長打を放って、ポーズを決めた。一時、勝ち越し打となる二塁打後にこぶしを重ねた加藤は「いいところで打ったら、やろうってみんなで話してました」と照れくさそうに打ち明けた。この日、柏の葉に登場した6チームのうち、4チームがコショウをひいたが、いずれも「同点」や「勝ち越し」などタイムリーを放ったいい場面だった。むやみやたらに披露しないところが、つつましい感じだった。

 羽田アンビシャスは移動のバスの中で、「同じポーズじゃおもしろくない」と別のポーズを考えた。竹内一達主将によると、コショウではなく「塩」にしようと、まず素材を決めた。さらに、グラウンドの土を指先でつまみスリスリとすりおろす「塩つまみポーズ」に決定。主に先発右腕の佐藤絢哉投手が考えたという。

 披露する絶好の場面がやってきたのは、同点に追い付いた5回裏、1死三塁。竹内主将が右前に勝ち越し打をはじき返し、一塁ベース上でベンチを振り返ると「やれやれ」の大合唱。笑顔の主将は土をつまみ、スリスリ…。大相撲の塩まきと違い、意外なほど地味な印象で、撮影していた時にはそれがポーズとは気づかなかった。コショウに比べると、スパイシーではなかったが、効果は抜群でこの回、さらに3点を追加した。

 恐るべき侍ジャパン効果で、この日声をかけた選手のほとんどが、WBCのテレビ中継を最後まで見ているという。スター選手のペッパーミルポーズも刺激的だが、球児の興味はそれだけじゃない。最終回に右翼からのバックホームで同点を阻止した茅ケ崎BCの箕輪明斗選手は、トップ選手のプレーが繰り返し再生されるのを参考にした。「YouTubeでは見ることがあっても、テレビ中継はなかなか見られないですから」と、鮮明なスーパースロー映像による打撃フォームなど、伸び盛りの球児には最高の教材だった。もっとも、かつては連日地上波で放送された野球中継が、中学生の目に届かないほど縮小されている現実も見えてきた。

 さて、中学生による、最新のパフォーマンスは侍ジャパンの快進撃と相まって、本部席でもほほ笑ましく受け止められていた。マナーやエチケットが守られれば、パフォーマンスには比較的寛容なポニーリーグならではの光景なのかもしれない。

 近く選抜高校野球が開幕するが、高校球児のペッパーミルは許されるのだろうか? 高野連と世間の反応をひそかに注目している。【久我悟】