グラブ1000個野球未経験の子どもたちに! あわちゃんの挑戦「先に見せるスタイル」次につながれば

「PLAYBALL GIFT」のポスター

<ニッカン ベースボールクラブ(BBC)> ■PLAYBALL GIFT②

これから野球を始める子どもたち1000人にグラブとボールをプレゼントするイベント「PLAYBALL GIFT2025」が13日、大阪・堺市のくら寿司スタジアム堺で行われる。主催する動画クリエーターあわちゃん(28)のサラリーマン時代の経験が、野球人口減少という難問に立ち向かわせた。

神戸市出身のあわちゃんは、小学4年の秋に野球を始めた。中学時代は学校の野球部、神戸科学技術高で硬式球を握り、外野を守った。自ら出演する動画で投球フォームも披露するが「斜面が苦手で、打者がいると投げ方が変わるんです」と投手経験はない。

高校卒業後に高速道路の管理会社に就職。深夜勤務が多く、路上での監督業務など命の危険をいつも感じていた。入社数年後、上司に業務改善を求めると、受け入れてくれた。「自分の意思を出して、行動すれば人の役に立つ」と思うようになった。

プログラミングを勉強するうちに、動画配信を始めた。高校のころから友人の特長をまねするのが得意だった。小柄で変わった投げ方をするオリックス山本由伸(当時)が気になり、メルカリでユニホームを購入した。ものまね動画を配信すると一気に広まった。今度は野球用品メーカーを題材にした。「やめとけ、やめとけ」と製品への不満を挙げながら、最後はこんな人にはお勧めだと、前向きに締めくくるシリーズがヒットした。一部で抗議も受けたが、喜んでくれる老舗メーカーもあった。ある新興メーカーの製造過程や商品紹介する動画製作を請け負うと、売れ行きが一気に伸びた。会社をやめ、動画クリエーターの道を歩み始めた時期だった。

日本全国の小学校に6万個のグラブをプレゼントしたドジャース大谷翔平の思いが、形につながっていないと知った時に「自分がやらなあかん」と思ったのも、サラリーマン時代の経験からだった。今回、企画書を持ってスポンサーを集めるより先に、自費で800万円投じてまでイベント開催にこぎ着けたのは、動画配信のスタイルだった。「先に『こういうことやれますよ』って見せれば次につながるんです」。

大谷は誰も成功を信じなかった「二刀流」で結果を示して、誰もが納得する世界一の選手になった。そんな感動と願いを受け継いだ若者が、1000個のグラブを抱えて、まだ持っていない子どもたちを待っている。(おわり)【久我悟】