北原里英、主演の実感「いい経験」女優への第1歩

主演映画「サニー/32」ついて語った北原里英(撮影・山崎哲司)

 今年4月にNGT48を卒業する北原里英(26)の主演映画「サニー/32」(白石和弥監督)が17日に全国公開される。自ら希望した白石組への参加が実現。撮影現場でもまれたことで、アイドルとは違う、役者という仕事について気付かされたことも多かったという。

 同作主演のきっかけは3年前、秋元康総合プロデューサーの「北原主演で映画を撮る」というサプライズ発表だった。「最初は本当かなと思った」が、その後の雑談の中で「白石監督の『凶悪』みたいな映画に出たい」と自ら主張、今作が実現した。

 憧れの白石組に参加し、監督の本気度も感じたという。監督自らが特権と話す、ピエール瀧(50)リリー・フランキー(54)コンビとの共演も実現したからだ。「この布陣を見たときに(監督が私に)ぶつけてくださったのを感じました」。

 それだけに女優としての収穫も大きかった。瀧やリリーが、撮影現場で監督と意見交換する姿を目の当たりにした。「演じるというのは自分を完全に消して別人に成り切ることではなく、自分の人生を反映することで役が生きてくることもある」ことが分かり、「だから、役者さんは人として魅力的じゃないとなれないと感じました」。

 アイドルとして、10年間で3つのグループを経験した。「数え切れないほどの経験と感情をもらいました」。これまでは脇役タイプを公言。「今回、主演をやって、真ん中はやりがいもあるし、責任感も生まれていい経験でした。でもやっぱり、脇で支えられる人になりたいかな(笑い)」。

 今作はネット文化を描いた社会派作品だ。「何万人がネットでなんと言おうと、実際に向き合って体温を感じながら言う1人の言葉のほうが絶対に強い。この映画はそれを体現しています」と話した。【川田和博】

 ◆サニー/32 新潟の中学教師藤井赤理(北原)は24歳の誕生日、柏原(ピエール)小田(リリー)に拉致、監禁される。2人は14年前に起きた小学生女児による同級生殺人事件の加害者を信奉する男たち。ネットへの流出写真で、かれんなルックスだった加害者はカリスマ化され、加害者本人とされる赤理への思いが余って連れ去ったのだった。一方、監禁部屋から脱出を計る赤理は、思いも寄らぬ運命にもてあそばれる。