【AKB総監督3代】卒業控え横山由依、高橋みなみ&向井地美音と語り合う

AKB48卒業を控える横山由依(中央)をねぎらう初代総監督の高橋みなみ(左)と現総監督の向井地美音(撮影・菅敏)

AKB48横山由依(28)が、27日にパシフィコ横浜で「横山由依卒業コンサート~深夜バスに乗って~」を行う。

卒業コンサートを前に、初代総監督の高橋みなみ(30)と、現在総監督を務める向井地美音(23)による初鼎談(ていだん)が、初めて実現。横山由依とはどんな人、どんなアイドルだったのか。3人が語り合った。【取材・構成=大友陽平】

  ◇  ◇  ◇

-横山は09年にAKB48の9期生として加入した。第一印象は?

高橋 とにかく、がむしゃらに頑張っている子がいるなというイメージです。ずっとジャージーを着て、デロンデロンのTシャツを着ている子みたいな…(笑い)。ずっと練習してたので、ほぼジャージーの子みたいな。それまで、ジャージーといえば、私だったんですよ。同じジャージーの子が出てきたぞと。

横山 確かに、そのイメージあります!

向井地 (加入前で)ファンの時は、めちゃくちゃ次世代を担うメンバーという感じでした。初めて買ったCDが「Everyday、カチューシャ」なんですけど、(横山は)それが初選抜で…。(サビの最後の)「<歌詞>もっと好きになるよ」でずっとニコニコしながら手でハートのポーズをしている横山さんが「かわいい!」って見ていたんですけど、入った後に聞いたら…。

横山 リップシーンを1回フルでやったんですけど、本当に何も動けなかったので…。スタッフさんから「ずっとハートをしてて」って言われて…。それが割と長めに使われたという…。

一同 (爆笑)

-それでも、引っ掛かった人がここに(笑い)

横山 そのシーンがきっかけで、知ってくださった方も多いんですよ(笑い)

-当時のことは

横山 (高橋の印象が)私の髪の毛がライオンみたいだったということかなと思ったんですけど…。

高橋 ライオン! 懐かしいな(笑い)

横山 髪の毛を乾かさないで寝ていたんです。それを見かねたたかみなさんが、美容院を教えてくれて、「いいパーマがある」って。そのイメージかなと思っていたので、「がむしゃら」なイメージで良かったです!

高橋 いや、ほぼ一緒よ(笑い)

横山 それをきっかけにたかみなさんも認知してくれたというか、気にしてくれるようになったと思います。

高橋 今久しぶりに会って、どんどん“きれいな女優さん”になっている由依を見ると、あの当時ボサボサがうそみたい…。

横山 だから、髪質って変わりますよ!

一同 (爆笑)

-当時の先輩たちはみんながそういう感じで見ていた

高橋 みんな、人と比べることはあまりしなかったりするんですけど、横山由依だけは「何なんだろう?」って、みんなちょっと不思議がってました。(篠田)麻里子様が認めるって、よっぽどで。最終的には(篠田の後を継いで横山が)キャプテンになったりもしますけど、「この子、ちゃんとしてる」って麻里子様もそうだし、みんな認めていました。

-10年のコンサートでの昇格発表も高橋から発表された

高橋 覚えてますよ! AKBって、頑張ってる順番に報われていくわけでもなかったりするので、そのシビアさもあるんですけど、横山由依の努力っていうのはすごくみんなが見て分かる努力だったんじゃないかなって思います。本人は多分それを意識してやっていたわけじゃなかったと思いますけど、こんなに短期間でこれを覚えてくるんだとか、ちゃんと評価された子だなって思って見てましたね、近くで。

横山 初代努力家のたかみなさんに認めていただいて…。たかみなさんみたいだというのは、加入してしばらくしてから、ファンの方から言ってもらったりしていたんです。自分もたかみなさんを尊敬する気持ちは活動していく中でどんどん芽生えていったと思います。

-それぞれ、思い出に残る横山とのエピソードは?

向井地 2人きりで京都旅行に行ったことですかね! 先輩と一緒に行った初めての旅行でした。たまたま休みが2日間合って、誘っていただいて。地元を案内していただきました。人力車にも乗りました!

横山 浴衣も借りたりしてね。楽しかった!

高橋 私は、多分後輩では一番ご飯に行ったメンバーだと思います。

横山 マ・ジ・で! 連れていってもらいました(笑い)。みーおんは分かると思うんですけど、私が後輩とご飯に行くと、必ず自分がおごるようにしているんです。それは全て、たかみなさんからの教えです! 由依が後輩と行った時には出してあげてと言ってくれたのを、ちゃんと実践してます。

高橋 当時、よく行っていたお店があって、ある時に由依と2人でいたんですけど、後から他のメンバーを呼んだ時があったんです。「いいよ!」って行ったんですけど、まずまず値段もするお店で、「私、4人分出せるかな?」ってドキドキして、かっこつけながらも財布を見たことがありました(笑い)

横山 買い物も一緒に行ってくれて、服を買ってくれたり…。

高橋 「109」とか行って「これが良いんじゃない?」みたいな(笑い)

横山 お母さんみたいですよね(笑い)。お家に遊びに行ったのに「私、眠いです」ってソファで寝かせてもらって起きたら、鍋が出来上がっていて…。キムチ鍋でした(笑い)

-メンバーとして、リーダーとして、横山由依のすごいところは?

向井地 絶対に時間を守ります。当たり前のことではありますが、当たり前のことを当たり前にやるのも難しいこともあると思うんです。でも横山さんは、そういった基本的な礼儀もそうですし、時間もすごく守ってたから、それを見ていた私たち世代も影響を受けました。背中で見せてくれていました。

横山 時間に関しても、たかみなさんはしっかり守っていたので。楽屋に最初に入るのがたかみなさんというのも見ていたので、それに続けるようにと思っていたので、自分が総監督やキャプテンになった時には、スタンバイは早くとか、自分が何か心がけてできるところはちゃんとやりたいなと。誰でも意識すれば守れるところですから。

高橋 あとは、汗がすごい!(笑い)。全力! 同じ分量を踊っていて、あの量の汗をかかれると、自分たちが全然ダメなんじゃないかと思うくらい…。近くにいてエネルギーをもらっていましたね。

横山 汗かきなんです…。代謝が良いというのもあると思うんですけど、デビューして以降は、ちゃんと汗をかくっていうのは意識していました。自分が汗をかいていないと、ちょっと納得がいかないという感じの気持ちになってたので…。

-27日に卒業コンサートを開催して、12月9日に卒業公演(AKB48劇場)を行う。門出を迎える横山にエールを

向井地 横山さんが私を総監督に選んでくれたのも大変なことだったと思うんですけど、この世界に3人しかいない総監督に指名していただいて、改めてうれしいなと思います。AKB48で重い荷物も背負ってきた分、卒業したらもっと楽しんでほしいです。横山さんの今後の人生を、応援しております!

高橋 自分も卒業して6年たちますけど、こうやって会うと当時にタイムスリップするというか…。

横山 たかみなさん、戻ってきたら「AKB48」ですよね! テレビに出ていると「高橋みなみ」なのに!

高橋 みんな“一生AKB48”なのよ! 卒業して思うのは、卒業してからの人生の方が長いというのも感じますし、AKB48以上にドラマチックな展開は、正直ないんです! だからこそ、1つ1つのお仕事に対しての取り組み方も変わるし、違った自分との出会いもあると思います。そして客観的にAKB48を見られるようになって、改めて感謝とか、AKBが好きだなという気持ちが出てくるのが、離れた最大の意味だって思っています。離れてみると、AKB48って魅力的だし、「根も葉もRumor」もめちゃ聞いてるから…。「Hey! Whatzzup?」って(笑い)。一生AKB48なんだという誇りを持ちながら、自分の好きなことを極めて、楽しんでいってほしいなと思います。

横山 ありがとうございます! 09年に加入して12年がたったんですけど、本当にあっという間で、しんどかったこともつらかったこともあったんですけど、今「AKB48どうでした?」と聞かれたら、「楽しかった!」ということしか出てこないんです。そう思える時に卒業できるって幸せだなと思います。みーおんに総監督を任せてから、個人ではお芝居をする中で、もっと自分を知りたいとか、自分を豊かにして、見てくださってる皆さんに夢とか希望を持ってもらえるような活動をしたいと思い始めたので、今後はお芝居で今までとは違う自分に出会ったり、他の考え方を知っていきたいと思います。一番理想は、OGと現役のメンバーが番組とかお仕事で一緒になる機会がたくさんあったら幸せなことだと思うので、目標にしていきたいです。

 

◆横山由依(よこやま・ゆい)1992年(平4)12月8日、京都府生まれ。愛称「ゆいはん」。09年9月、AKB48の9期生として加入。12~13年はNMB48兼任。派生ユニットNot yetでも活躍。15年12月8日~19年3月31日まで、AKB48グループ総監督。選抜総選挙は第2回から圏外→19→15→13→13→10→11→7→6位。舞台は19年「美しく青く」、今年6月「熱海五郎一座 Jazzyなさくらは裏切りのハーモニー~日米爆笑保障条約~」などに出演。27日には卒業メモリアルブック「深夜バスに乗って」(光文社)発売。血液型B。