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「ホンモノ」の2本に注目、年齢応じて違った楽しみ

  • TL

  夏休みが近づき、ファミリー映画がラインアップされる季節になった。今年は「ホンモノ」の2本に注目したい。

「パワーレンジャー」の1場面 (C)2016 Lions Gate TM & (C)Toei & SCG P.R
「パワーレンジャー」の1場面 (C)2016 Lions Gate TM & (C)Toei & SCG P.R

 15日公開の米映画「パワーレンジャー」のルーツは、75年の「秘密戦隊ゴレンジャー」から始まった日本の「スーパー戦隊シリーズ」にある。英語版として再構築された「パワー-」は、93年から北米で放送が始まった。

 日本版のままではアクション・シーンのほとんどが放送コードに触れ、単体ヒーローが主流の米国では「5人組」という設定にも違和感があったらしい。だが、開けてみれば「力を合わせ、欠点を補い合って戦う」というコンセプトが子どもたちに受け、北米でもっとも成功した日本製コンテンツになったという。単体ヒーローが結束して戦うコミック「アベンジャーズ」が96年から第2期に入って再スタートし、12年に映画シリーズのブレークで世界的な人気となったきっかけのひとつにこの「パワー-」の存在があったというのは考えすぎだろうか。

 そんな根強い人気を背景に満を持して映画化されたのが今回の作品というわけだ。ハリウッドが本気になると「戦隊モノ」もここまでのクオリティーとなるのか。「トランスフォーマー」(07年)のとき以上の驚きがあった。

 クライマックスの巨大ロボ対決の迫力はもちろんだが、太古の情報を伝える小型ロボの細部に至るリアルな作り、先輩レンジャーの魂を表現する「話す壁」など、映像の端々まで工夫と気配りがなされている。監督は南アフリカ出身で長編2本目というディーン・イズライト、主演はオーストラリア出身でこれがハリウッド・デビューとなるデイカー・モンゴメリー。キャスト、スタッフに知った顔は少ないが、その分特撮とアイデアを主役に鑑賞できる。

 もう1本は8月26日公開のスイス=ドイツ合作「ハイジ」だ。日本でもテレビアニメでおなじみの「世界で1番有名な少女の物語」の決定版だ。

 スイスの作家ヨハンナ・シュビリが書いた「ハイジ」は1880年(明13)の発表以来、約60の言語に翻訳され、累計5000万部以上が発行されている。

 アラン・グスポーナー監督はスイスの児童向け映画でヒットを連発している人で、ハイジ役のアヌーク・シュテフェンは500人の候補から選ばれたまさに「自然児」だ。アルムおんじにはドイツの名優ブルーノ・ガンツが成り切った。愚直なまでに、というと誤解を受けるかも知れないが、余分なものを排した原作の世界がまさにここにある。

 はだしで走り回るハイジやペーターの無邪気さ、たくましさ。アルムおんじの孤高。クララの優しさと寂しさ…アニメや絵本を通して想像していた人物がリアルに像を結んでいる。

 「本場」のアルプスを舞台に抜ける空、そびえる山々。飛翔(ひしょう)するワシの視点で始まる幕開けからいきなり心を洗われる。分かってはいてもアルムおんじのかたくなな心の奥に同情し、分かってはいてもクララが立った瞬間に心の中で快さいする。

 大半はヒロイン、シュテフェンの愛らしさに目を奪われるが、クララのおばあさま役に演技巧者のハンネローレ・ホーガーがふんしていて、終盤のアルムおんじとの絡みに思わずじんとさせられる。

 情操教育にうってつけの1本だが、「パワーレンジャー」ともども、年齢によって違った楽しみ方のできる作品だ。【相原斎】

「ハイジ」の1場面 (C)2015 Zodiac Pictures Ltd / Claussen+Putz Filmproduktion GmbH / Studiocanal Film
「ハイジ」の1場面 (C)2015 Zodiac Pictures Ltd / Claussen+Putz Filmproduktion GmbH / Studiocanal Film

映画のない生活なんて、考えられない。映画は人生を豊かにする--。洋画、邦画とわず、三十数年にわたって映画と制作現場を見つめてきた相原斎記者が、銀幕とそこに関わる人々の魅力を散りばめたコラムです。

  • TL

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