「としまえん」の1場面 (C)2019東映ビデオ
「としまえん」の1場面 (C)2019東映ビデオ

映画「としまえん」(高橋浩監督、10日公開)は、老舗遊園地を舞台にした異色のホラー作品だ。元NGT48の北原里英(27)を始め、若手の注目株が絶叫演技を競っている。北原に加え、NHKテレビ小説「ひよっこ」の寮長役が記憶に新しい小島藤子(25)、元SUPER☆GIRLSの浅川梨奈(20)、「仮面ライダー」出身の松田るか(23)に撮影を振り返ってもらった。

 ◇   ◇   ◇ 

-絶叫演技に迫力がありました。

小島 みんなと一緒で、しかも遊園地。怖がるような環境ではなかったんですが、それぞれ演技のスイッチがスルッと入る人たちで、それに引っ張っていただいた感じです。

北原 やっぱり目ですかね。そんなに強く意識しなくても。ギャーッという感じが出たと思います。

浅川 私の役は強気で頑固なキャラだったので、恐怖の抑制を意識しました。物語の進行とともに恐怖のレベルが上がっていくので、相応の表情をずっと考えていました。

松田 私は1番の妹キャラ役だったので、「ホーム・アローン」の男の子(マコーレ・カルキン)の顔をイメージしました。アメリカの子どもならではの高いボルテージを。

-撮影中のご苦労は。

小島 撮影は昨年の5月でした。期間が短くて、天候に恵まれなかった。前半は雨が降ってめちゃくちゃ寒くて、後半だんだん温かくなる感じでした。天候によって撮影の番手(シーンの順番)が変わったりしたので、(表情や雰囲気が)ちゃんとつながるようにするのが課題でした。この場面では誰がいなくなっているのか、恐怖のレベルはどこまでか、その確認作業から始めました。

浅川 私は本筋よりはジェットコースターとかバイキングに乗るシーンですね。嫌いじゃないけど好きじゃない。絶叫系に乗るときは胃が浮かないように前かがみにならないとダメなんですけど、カメラがあるから前かがみになれない。ただただ怖かった。くぅー(と胃が浮いてくる感じ)でしたね。あれが1番の怖がり顔かも(笑い)。

松田 寒かったり番手が変わったりはむしろスタッフさんがたいへんだったと思います。カメラも音声さんも1人ずつの「少数精鋭」で、あれもこれもと対応に追われていました。私たちの方は空き時間にジェットコースターに乗せてもらったりしてたし。

-楽しい方が多かった。

松田 そうですね。としまえんさんの全面協力がうれしかった。天候でスケジュール変更が多かったので、予定のない日に急きょ入れてもらったり。

浅川 楽屋がめちゃくちゃ楽しかった。言ってみればみんな「お姉ちゃん」で、みなさん私のダル絡みに付き合ってくれました。

松田 ほんとダルかったけど(笑い)。

浅川 一番愛情そそいでいるのに、跳ね返すのあなただけだから(笑い)。

松田 としまえんさん優しいから。アイス食べたいって言ったら、アイス屋さん開けてくれるし。

北原 クランクアップは夜中だったんですけど。直後に豚汁が出てきたんですよ。心に染みて、いい現場だなってしみじみ。

小島 いつも笑える現場でした。大御所がいらっしゃればもちろんですけど、同世代でも人によってはいろいろあって…。まったく気を使わなくて済む現場って実はあまりないんです。今回はストレスなく撮影に集中できました。

-遊園地としてのとしまえんの思い出はありますか。

小島 ちっちゃい頃よくプールに来てました。

浅川 幼なじみとよく来てました。埼玉県民は身近に感じるスポットですから。東京だと某ディズニーランドとか後楽園になるかもですが、まあ埼玉県民来やすいんですよね(笑い)。

北原 実は5年前くらいにメンバーと来たことがあります。あえて行ったことのない遊園地に、という。

松田 確かにノスタルジックな雰囲気がある。メリーゴーラウンドには100年以上の歴史があるし。

北原 いただいたもんね。メリーゴーラウンドの歴史が書いてある本をクランクアップの記念品に。

松田 私、枕元に置いてるもん。インテリア的に。

-好きなホラー映画はありますか。

小島 だんぜん「ミザリー」(スティーヴン・キング原作、90年)。

北原 「ミザリー」怖かったよね。

小島 ビックリ系ホラーじゃなくてジワジワくる感じだから。

北原 私はジャパニーズ・ホラーが好きなので、学生時代に「着信アリ」(三池崇史監督、04年)にはまってました。着信音あれにしてましたもん。びびりの割に実はホン怖とか鳥肌とか好きなんです。

浅川 私は見ないっす。テレビの15秒のCMでさえチャンネル回す人間です。

-最後にこの作品の見どころを。

小島 アトラクション感があってとっつきやすいと思います。

北原 ちゃんとホラーなんですけど、ホラー映画無理って人でもギリ見られるレベルだと思います。食わず嫌いしている人にぜひ。

浅川 かわいい子が叫んでいる映画。そっちの面から見てもらいたいです。無理矢理着ている制服も。

-一般的に30歳くらいまではセーラー服でいけるっていう認識がありますが。

北原 いやいや、人それぞれでしょう(笑い)。

松田 見どころに話を戻すと、まず押しメンがいる方はその人が叫ぶ姿を楽しんでもらいたい。それからただのホラーじゃなくて、登場人物はみんなちょっと仲悪いんですよ。女子同士のドロドロした部分も怖い。監督の高橋(浩)さんが脚本も書いているんですけど、元女子高生なんじゃないか、と思うくらい着眼点がすごいんです(笑い)。

歩んできた道はそれぞれでも、そろって「映画が好き」。言葉の端々に撮影現場の創意工夫がにじんで気持ちの良い対談になった。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)

メリーゴーラウンドで笑顔を見せる、前列左から小島藤子、北原里英、後列左から松田るか、浅川梨奈(撮影・山崎安昭)
メリーゴーラウンドで笑顔を見せる、前列左から小島藤子、北原里英、後列左から松田るか、浅川梨奈(撮影・山崎安昭)

◆北原里英 1991年(平3)6月24日、愛知県生まれ。AKB48を経てNGT48キャプテン。18年4月に卒業後「サニー 32」(18年)に主演。

◆小島藤子 1993年(平5)12月16日、東京生まれ。09年「小公女セイラ」で注目。「青空エール」(16年)「氷菓」(17年)などに出演。

◆浅川梨奈 1999年(平11)4月3日、埼玉県生まれ。SUPER☆GIRLSの元メンバー。カバーガール大賞史上初のV3(コミック部門)達成。

◆松田るか 1995年(平7)10月30日、沖縄生まれ。17年「リーガダイジェスト」のリーガールで注目。「賭ケグルイ」「億男」(18年)などに出演。