新型コロナウイルスの感染が拡大し続けている米国では、経済活動への規制を再び強化するなど爆発的な感染拡大が懸念されていますが、3月中旬から撮影がストップしていたハリウッドでは再開に向けて動き始めています。

映画の都ハリウッドを擁するロサンゼルス(LA)では今月12日から映画やテレビの撮影再開が認められ、経済活動が再開した欧州やニュージーランドでも複数のプロダクションが動き出しています。LAやニューヨークなど大都市ではまだ映画館は営業を再開しておらず、新作映画の公開も7月下旬にずれ込む見込みですが、撮影再開はハリウッドにとっては朗報。まだ本格始動には程遠い状態ですが、現時点で撮影再開のめどが立っているプロダクションを紹介します。

トム・ハンクス(09年5月撮影)
トム・ハンクス(09年5月撮影)

●「アバター」続編

ジェームズ・キャメロン監督の大ヒットSFアドベンチャー「アバター」(09年)の続編は、感染の封じ込めに成功したニュージーランドで、すでに撮影が再開されています。政府の特別許可で入国が認められた出演者や、スタッフら関係者一行は今月上旬にチャーター機でニュージーランド入りしており、およそ3カ月ぶりに撮影をスタートさせています。

前作から数年後を舞台に地球人ジェイクと先住民族ナヴィのネイティリの2人の子供たちを中心とした物語になるといわれる今作には、ケイト・ウインスレットとヴィン・ディーゼルが新たにキャストに加わることも決まり、2021年12月公開を目指しています。

●「ジュラシック・ワールド:ドミニオン」

「ジュラシック・ワールド」シリーズ第3弾となる「ジュラシック・ワールド:ドミニオン」は、英バッキンガムシャーにあるパインウッド・スタジオで、約4カ月ぶりに撮影が再開されることが決まったと米バラエティ誌が報じています。今年2月25日にクランクインしたものの、英国内での感染拡大を受けて3月中旬から撮影が中断されていましたが、7月6日から撮影を再開する予定だと伝えられています。入国後は政府の方針に従って2週間の自己隔離が求められるため、主演のクリス・プラットとブライス・ダラス・ハワードはすでに渡英しているといわれています。

●「マトリックス4」

キアヌ・リーブス主演の「マトリックス」シリーズ第4弾は、来月初めにもドイツ・ベルリンで撮影が再開されると伝えられています。「マトリックス レボリューション」(03年)以来18年ぶりとなる続編は、コロナ禍の直前まで米サンフランシスコで撮影をしていましたが、その後は欧州で感染が拡大したことを受けて、3月中旬から予定されていたベルリンでの撮影は休止を余儀なくされていました。このほどリーブスやキャリー・アン・モスらキャストたちがベルリンで再会を果たした様子が目撃されており、新たに出演が決まったニール・パトリック・ハリスの姿も確認されています。

●エルビス・プレスリーの伝記映画

トム・ハンクスと妻のリタ・ウィルソンが、撮影のために滞在していたオーストラリア・ゴールドコーストで3月に新型コロナウイルスに感染したことを受けて撮影が中断されていたタイトル未定のエルビス・プレスリーの伝記映画が、近々撮影を再開させると伝えられています。クイーンズランド州のアナスタシア・パラシェ首相は、メガホンを取るバズ・ラーマン監督と撮影再開に向けた話し合いを行ったと伝えられており、キャストとスタッフの安全が確認され次第再開を認める方針を示しています。ハンクス夫妻はすでに回復しており、治療のために血漿を寄付する様子をSNSで報告しています。

●「ミッション:インポッシブル7」

トム・クルーズ主演の大ヒットアクション映画「ミッション:インポッシブル」シリーズ第7弾は、2月にイタリアのベネチアで撮影が始まった直後に、現地での感染が拡大したことを受けて撮影が中断されていました。このほどベンジー・ダン役のサイモン・ペッグが、米バラエティ誌のインタビューで9月から屋外シーンの撮影を再開させる予定だと明かしていましたが、ロンドンで撮影を再開させる準備を進めていることが発覚。クルーズはすでに現地入りしており、英紙は近々撮影が再開される見通しだと伝えています。

●「バチェロレッテ」

テレビ業界も撮影再開に向けて動きだしています。1人の独身男性(バチェラー)のパートナーの座を狙う女性たちが競い合う恋愛リアリティ番組「バチェラー」の男女逆転版「バチェロレッテ」は、南カリフォルニアのリゾート施設でシーズン16の撮影を近々スタートさせることが明らかになっています。感染予防のため撮影期間中はキャストとスタッフは隔離された施設内で暮らし、外部との接触を避けることなどガイドラインに基づいて撮影が行われるようです。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)