分類すればホラー映画だが、社会派作品だと思う。

あのチャッキーがAIなど最先端テクノロジー搭載の人形となり、アンディのために殺人を繰り広げる。「親友のためならなんでもするよ」「ボクたち、死ぬまで親友だよね?」のセリフは怖いが、同時に悲しみさえ感じさせる。

88年のシリーズ第1作の公開以来、チャッキーは人々を恐怖に陥れてきた。連続殺人鬼となり、その魂をブードゥー教の秘技によって人形に憑依(ひょうい)させた。人間に戻る器としてアンディを執拗(しつよう)に追いかけるというクラシックホラーは、人形だからこその怖さがあった。

本作でチャッキーは現代風ハイテク人形だ。AIを搭載することで人間の言語を学び、感情も学ぶ。「アンディを喜ばせたい」。現代版チャッキーはその一心で暴走する。従来作にはなかったある種の悲劇であり、恐怖の種類も変わった。それは、現代社会に対する警鐘、つまりテクノロジーの奴隷である現実を私たちは突きつけられる。

チャッキーの声はマーク・ハミルが担当。エンドロール中の歌が耳に残る。【川田和博】

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