今年のAKB48グループ選抜総選挙で、前代未聞の「結婚宣言」をしたNMB48の須藤凜々花(20)。6月17日、沖縄の会場でファンと同じく度肝を抜かれたNMB48メンバーは、思わず「おめでとう」と声をあげた。一部ファンからは、その行為を「不快」と指摘する声もあったが、その理由は単純だ。

 「りりぽん(須藤)だから」に違いない。

 明文化こそされていないものの、グループにおいて「恋愛禁止」は暗黙の了解。それが恋愛も、卒業も一気に飛び越えて「結婚」だ。めでたいことではあるが、仲間だって素直に祝福できるものではないはずだが、メンバーの祝福に、記者も違和感はそうなかった。

 須藤の将来の夢は哲学者。哲学書まで発売し、マージャン番組をレギュラーに持つ異色のアイドルだ。「私は、グループに波風を立たせるためにNMB48に来た」と言っていた。

 自らを「処女です」と言ったり、「アイドルって10代のイメージ」と、加入当初から10代で卒業をにおわせたり、独自の観点、持論に基づいた発言を曲げなかった。同じグループで活動しているNMB48メンバーは、須藤の危うい魅力を間近で見てきている。そこに「本音」しかないことも、承知している。

 昨年の総選挙スピーチでは、実母のがん闘病を告白した。今年も「何かやらかす?」と、危険なにおいを感じていたメンバーも多かったはず。ただし、そのマックスは「卒業」ととらえていたのではないか。昨年11月の誕生日で「10代を卒業」しただけに、記者もそれはあると思っていた。

 ところが、そのはるか上を行く衝撃スピーチだった。メンバーもほぼ間違いなく、途中まではジョークか、須藤独特の比喩表現ととらえ、わき上がっていたはずだ。ところが「え? マジ? え?」と困惑が広がっていった。それでも「やっぱり、りりぽんらしい。何かまだ裏があるはず」と考え、とりあえず、おめでたい話なので、祝福してしまった-。そんな思考の流れだったろう。

 記者もスピーチを聞き、本来なら、結婚が本気ならば、すぐに活動辞退か、最悪なら「実質解雇」だってあるはずだが、それは一切考えられなかった。

 だって、りりぽんだから-。

 もちろん、熱心に応援したファンのショックは計り知れないとは察する。怒り、悔しさ、やるせない気持ちに包まれているとは思う。でも「そんな、危ないりりぽん」だから、魅力を感じたというファンもいると思う。

 宣言後、須藤のキャラを把握しているAKB48グループの運営側は、須藤をまだ今後も生かす方法を考えていたようだ。21日に須藤が会見を開いた際、秋元康氏から活動継続を打診されていたことも明らかになっている。

 だが、結果的には“寿卒業”に落ち着いた。至極当然の流れだとは思う。でも、どこか…。「肩すかし」な感覚を覚えてしまった。【村上久美子】