「回転レーンで商品を流している店舗数が世界No.1」としてギネス世界記録に認定された大手すしチェーン「くら寿司」には、世界をフィールドにした次の大きな目標があります。掲げているのは「世界のレストランに革命を起こす」ことです。
先日、大阪市内で行われた認定証授与式で、同社の岡本浩之取締役は「レーンにすしを流すことにこだわり続けていきたい。こういう形で世界No.1と認めてもらい、光栄です」と喜びを語り、「さらにレーンの魅力を高めていきたい」と意気込みを示しました。
くら寿司の店内には、流れている皿から客が選べる下のレーンと、注文したすしが流れてくる上のレーンがあります。岡本氏は「圧倒的に海外のお客さま、日本のお客さまでもお子様は下のレーンから取るのが大好きです」と話します。
大阪・関西万博では「回転ベルトは、世界を1つに」をテーマに出展し、岡本氏自身が海外の来場者を案内したといいます。「海外の方は『これ何?』と興味津々でした。一方で日本の通訳の方は黙々と注文を始められます」。訪日客に人気なのは、下のレーンでした。
コロナ禍を機に、多くの回転ずしチェーンが「流す」提供を断念する動きもありました。そうした中でも、くら寿司は回転レーンの継続にこだわってきました。理由は明快です。客が流れてきた商品の中から「自分で選ぶ」という行為が、一般的なレストランにはないエンターテインメント性を生み、来店動機そのものになるといいます。インバウンド需要が拡大する中、岡本氏は万博での実体験も踏まえ、「世界に回転ずしが広がっていくためには、回転するレーンは重要な要素です」と強調しました。
回転レーンは体験価値だけでなく、店舗運営の仕組みも変えるといいます。「店舗運営を考えても、配膳スタッフが料理を運ぶ手間がいりません」。岡本氏は、配膳や注文対応の負担を減らせる点に触れつつ、「ビッくらポン!」「抗菌寿司カバー」など、さまざまなアイデアを生み出してきた創業社長・田中邦彦氏の言葉も紹介しました。「回転ずしのビジネスモデルで世界のレストランに革命を起こしたい」。
飲食の現場では慢性的な人手不足が続き、世界的にも人件費は上昇基調にあります。省人化は効率化のテーマにとどまらず、事業継続の条件にもなりつつあります。くら寿司は海外で米国84店舗、台湾62店舗を展開しており、「回転ずし」を単なる提供手段ではなく、外食の体験価値とオペレーションを同時に変える「ビジネスモデル」だと位置づけています。
岡本氏は「いろんな面で世界一を目指していきたい」と語りました。世界No・1の称号を追い風に、回転ずしは次のステージへ踏み出しています。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)




