新人公演「エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-」は本公演でルドルフ役代わりの暁千星(あかつき・ちせい)が4度目の主演。新人公演は宝塚が9月11日、東京は11月8日。

 暁は新人学年ながら、すでに宝塚バウホールでもセンターに立ち、本公演でも主要キャストに入っている。

 「私にとっては最後の新人公演になるので、主演はすごくうれしかった。(新人最後に)青春が終わるっていう感じがします」

 新人公演主演は16年「NOBUNAGA」以来、2年2カ月ぶり4度目。「自分がどうトートになっていくのか、想像ができなくて。そこが課題」。元月組トップ瀬奈じゅん主演の「エリザベート」を機に宝塚ファンになった。瀬奈のトートに魅了された。

 「これはかっこいいなと思って、スケジュール帳の表紙とかに、トート写真を貼っていました」。後に映像で、歴代作を見た。「鏡を使い、舞台の奥まで(演出に)使っている。斬新で、ダイナミック」。舞台の使い方にも衝撃を受けた。

 「毎回、全然違うトートが作られている。その人の魅力が出る役なんだろうな、と。『死』なんですけど、恋心、嫉妬心があり、一番人間らしさがある」

 次世代スターは今回、自身の持ち味とは違うダークな役に臨む意味も考える。

 「なかなか自分にもらえるような役じゃない。新たな引き出しが増える。ここ最近、新人公演では、本公演で専科さんが演じる役など、(主演を)外から見る役をいただき、舞台全体を見られるようになった」

 バウ主演など経験を積み、舞台の怖さを知り、周囲への目配りも覚えた。

 「ずっとすごい下級生で、いつも上の方を追い掛けているイメージだったのに、もう(新人を)卒業」

 抜群の運動神経を生かしたダンスで、入団当初から注目された。芝居への取り組みも変わった。「役作りとか、よく分かんなかったんですが、役へのアプローチというものを知りました」。恥ずかしそうに笑う。

 本公演では、2年後輩の風間柚乃(かざま・ゆの)と、皇太子ルドルフを役代わりする。「下級生と役代わりする立場になったんだな」。感慨深げだ。「風間君は歌もお芝居も上手。勉強になる。私とはアプローチも全然違う」と評価。大いに刺激になるという。

 私生活では野菜中心の食生活を継続。塩を入れた半身浴で血流を良化させる。「今回、踊りが少ないので少し物足りない。汗をかいている時が一番気持ちいいのに」。爽やかに笑った。

 ☆暁千星(あかつき・ちせい)9月14日、広島県福山市生まれ。12年入団。新人公演は14年「明日への指針」で初主演し、15年「1789」、16年「NOBUNAGA」も主演。15年には、バウ・ワークショップで3年先輩の朝美絢とダブル主演、昨年12月にはバウ単独初主演も経験。身長172センチ。愛称「ARI」。