宙組トップ真風涼帆(まかぜ・すずほ)が、兵庫・宝塚大劇場で「オーシャンズ11」に臨み、男の色香を漂わせるダニー・オーシャンを好演している。11年新人公演で主演した思い出作の宝塚公演は27日まで。東京宝塚劇場は6月14日~7月21日。

175センチの長身、長い手足。スタイリッシュな宙組を象徴するトップは、柚希礼音、蘭寿とむと続いた“宝塚版ダニー・オーシャン”の系譜を進化させた。

「大人っぽさにちゃめっ気。簡単に言うと、堅気じゃない感じ」。ジョージ・クルーニー主演の映画も見直し、稽古に励んだ。「ジョージ・クルーニーさんが、一番の教科書」。スタイリッシュな天才詐欺師がダニー・オーシャンだ。

今、最も盗みたいものは「ジョージ・クルーニーさんの大人の包容力」と答えた。初代“宝塚版ダニー”柚希のいた星組出身。11年の初演時は、本公演でも主要キャストを演じ、新人公演では主演した。

「あの頃は、自分の出ていない場面でも、ずっと袖から柚希さんの姿を追っていた。今回のお稽古中も、体が覚えていた。あの頃と違う振りもある。でも、感覚だけは残っていて…」

新人主演時、現在は宙組で自身を支える2番手の芹香斗亜(せりか・とあ)も同じ星組で、相棒役。2人そろって、本公演へ“凱旋(がいせん)”となった。

「そこもほんと、懐かしの~といった感じです。頼もしい。2人だから出せる悪友関係、魅力的な関係性というのを見せていく」

15年に宙組へ、17年11月にトップに就き、1年半。星組時代の先輩だった現星組トップ紅ゆずるも退団を発表。月日の流れに感慨はあるが「宝塚は始まりがあれば、終わりがある世界ですので」と受け止める。

今作は、105期生の初舞台公演。「やっぱり、初心を思い出しますし、刺激をいただける」。今作も小池修一郎氏の演出だが、真風自身の初舞台作も、小池氏の演出だった。

「小池先生に、ご縁があるんだなと思います。あ、もちろん、怒られました! 『この期は全然かわいくない』って言っていただいて(笑い)」

別れと出会いを繰り返し、続いた宝塚105年。「永遠がないから美しい世界。今いる私たちが精いっぱいのことをして、次につなげていく」。甘酸っぱい思い出も心に抱き、宙組を率いて進む。【村上久美子】

◆ミュージカル「オーシャンズ11」(脚本・演出=小池修一郎) ラスベガスを舞台に11人の男たちが金庫破りに挑むハリウッド映画をもとに、11年に星組公演で初ミュージカル化。13年に花組で再演され、外部でも上演が重ねられてきた。クールでダンディーな男たちが躍動するアクション作。11年星組の新人公演は、真風が主人公ダニー・オーシャンを、親友ラスティーは芹香斗亜が演じた。宝塚大劇場公演は105期初舞台生のお披露目。

☆真風涼帆(まかぜ・すずほ)7月18日、熊本県生まれ。06年入団。星組配属。新人公演主演は5回。15年5月に宙組へ。17年11月、朝夏まなとの後任として、宙組トップ。昨年3月、人気漫画が原作の「天は赤い河のほとり」で本拠地お披露目。身長175センチ。愛称「ゆりか」「すずほ」。