冬ドラマもいよいよ後半に突入した。オリジナル作品が豊作な今期は、ミステリー、ホームコメディー、不倫ものなどジャンルも幅広くそろっているが、「タイムリープものが多い」という目立つ特徴から「釈由美子のビンタ」のような一場面まで、いろいろなネタかぶり、描写かぶり、場面かぶりが散発していて興味深い。目に留まったものを5つ挙げてみた。

**********

 ◆タイムリープ5種

 過去に戻って後悔をやり直すタイムリープものが日本テレビで2本。成り上がりたいホストがタイムリープを繰り返す「トドメの接吻」(日曜10時半)と、10カ月前へのタイムリープに招待された男女8人の顛末を描く「リピート」(木曜11時59分)で、タイムリープ対決としてちょっと話題。

 毛色は違うが、フジテレビ「ラブラブエイリアン2」(月曜深夜0時55分)は、時間を操れる宇宙人と同居女子たちの異色コメディー。結婚後の未来をのぞいてみたり、過去から戦国武将を呼び出したりと何でもあり。テレビ朝日「相棒」(水曜9時)では、16話で反町隆史から「タイムマシンに乗って助けに行きたい」というせりふが飛び出してびっくりした。NHKでは、タイムマシンで戦国時代に送り込まれた女子高生を描く「アシガール」をきのうまで再放送していた。

◆女装キャラがハイクオリティー

 ドラマに女装キャラが登場するのは珍しくないが、今期はワンランク上の完成度。フジ「海月姫」(月曜9時)では、ファッションマニアで女装を趣味とする美男子キャラを瀬戸康史が演じているほか、NHK「女子的生活」(1月終了)では、志尊淳が見た目は美しい女性だが実は男性、ファッション会社で働きながら理想の「女子的生活」を満喫している主人公を演じていた。どちらも役柄の女装性をきちんと理解して魅力的に演じており、設定上、ファッションもメークも完璧で見とれる。志尊くんは、ホスト役で出演している「トドメの接吻」でも女装を披露していた。

 ◆「マスゴミ」描写

 今期は、マスコミがかなりの悪役としてストーリーのど真ん中で描かれているのが特徴。行儀の悪い困った存在という従来の描かれ方を超え、フジテレビ「ファイナルカット」(火曜9時)は、メディア被害者の復讐劇というズバリなテーマ。逃亡犯にヤラセ証言をさせてニヤニヤと裏金を渡すディレクターなど、マンガのような極悪人がいっぱい。TBSの法医学ミステリー「アンナチュラル」(金曜10時)は、ゲスい週刊誌編集部が主人公チームを侵食していく存在に。「裏から出てください。特にうるさいのが来ています。マス・ゴミです」。連ドラのせりふではっきりと「マスゴミ」というワードを聞いたのは初めてでドキリとする。

 ◆主人公の過去の秘密を2話で明かす

 TBS「99.9-刑事専門弁護士-」(日曜9時)では、父親が26年前に獄中死という主人公(松本潤)の過去を2話でさっさと明かし、冤罪(えんざい)を晴らして完結させた。「アンナチュラル」も、「実は一家心中事件の生き残り」というヒロイン石原さとみの謎を2話で自らがオープンに。主人公に謎めいた過去を設定して最終回まで引っ張る、というテンプレートに風穴をあけるチャレンジだった。どちらの作品も、過去を踏まえた主人公がいま向き合っている問題に集中できていて、逆に先が読めない好展開に。どちらもきちんと高視聴率。

 ◆釈由美子のビンタ

 若いイケメンにコケにされる年増セレブ、という役どころで2番組をはしご。テレ朝「明日の君がもっと好き」(土曜11時5分)では、若いサラリーマンとの浮気中に「おばさん」と笑われて金までとられ、顔面をバシーン。「トドメの接吻」では、集金に来たホスト山崎賢人にプールに落とされ、水中で顔面を突き飛ばして「クズ!」。どちらも三流セレブの役どころがハマっていて、ビンタもうまい。ちなみに、「相棒」では、警察エリートの仲間由紀恵が犯人をビンタ。うそかと思うほどぎこちなかったが、野蛮な行為に慣れていない女性エリートのビンタとしてはリアルだった。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)