放送が終わったばかりのBS朝日の韓国ドラマ「町の弁護士チョ・ドゥルホ」は良かった。

 人気Web漫画が原作の法廷ドラマで、エリート検事だった主人公が陰謀に巻き込まれて失職。失意のどん底に落ちてから3年後、町の弁護士としてカムバックをする正義の物語だ。

 いつもながら、韓国ドラマは俳優陣の芝居がうまい。主人公チョ・ドゥルホを演じるパク・シニャンは、日本の俳優でいうと香川照之や竹中直人のようなイメージ。喜怒哀楽のストレートな表現に、見ている側が自然な形ですっと感情移入できる。その表現力は抜群だ。

 共演陣もすばらしい。例えば、弁護士イ・ウンジョ役のカン・ソラ。ドラマ「ミセン」(14年)の時もそうだったが、主人公ではないが、その存在感は主人公級だ。スピンオフとして、彼女を主演にした作品にしても十分に楽しめること間違いない。そう確信している。日本の女優でいうと、大竹しのぶと沢尻エリカを足して2で割ったようなイメージか。こちらも、とにかく演技派だ。

 ただ、残念というか韓国作品らしいというか…。つじつまの合わない展開が散見されるのが残念なところ。

 最終回では、主人公が暴漢に腹部をナイフで刺されて海に転落した。その時には「えっ、これで亡くなることはないだろうな」と不安になったが、次の場面では大けがには至らずに、少なくとも見た目はピンピンしている。えっ、なぜ? 暴漢に襲われるのを予想してさらしを巻いていた? あるいは防弾チョッキを着ていた? でも、そうしたら、あんなにナイフがズブズブ体に刺さるはずがないしなぁ。何度も刺していたよな…。そこが気になってしまうと、ドラマの世界観に浸りきれない。

 「そんな展開があるかいっ」とツッコミを入れたくなるストーリーも含めて韓国ドラマ。そうは分かっていても、やはり残念。韓国の視聴者は気にならないのだろうか? もったいない気がしてならない。