NHKの気象解説で親しまれ、エッセイストとしても活躍した元気象キャスターの倉嶋厚(くらしま・あつし)さんが3日午前3時14分、腎盂(じんう)がんのため埼玉県川口市の病院で死去した。93歳。長野市出身。葬儀は近親者で営む。喪主はおい小堀文明(こぼり・ふみあき)氏。

 気象庁で予報官として活躍し、1984年に定年退職するまで、予報畑一筋に歩んだ。同年4月からNHK解説委員に就任し、ニュース番組「ニュースセンター9時」で気象キャスターを担当。分かりやすく温かみのある説明で人気を集めた。その後、フリーの立場で講演活動などをしていた。

 エッセーの名手としても知られ、天気を通して見た季節の移り変わりを軟らかい文体でつづった。著書に「暮らしの気象学」「四季のたより」など。2002年には、妻の死と自らのうつ病について著した「やまない雨はない」を発表、話題を呼んだ。

 フランス・国際気象フェスティバルのベストデザイン賞のほかNHK放送文化賞を受賞。96年に勲三等瑞宝章。