10月13日付で、宝塚歌劇団星組トップ紅(くれない)ゆずると同時退団することを発表した同組トップ娘役、綺咲愛里(きさき・あいり)は6日午後、兵庫県宝塚市の同劇団で会見した。

この日午前、大阪市内で会見した紅から、遅れること2時間半。場所も宝塚市内へ移して設けられた会見の場。白いワンピースにシルバーのラメ柄をあしらった衣装は、くしくも紅とおそろい。綺咲は「え、そうなんですか。以心伝心? はいっ!」と、うれしそうに笑った。

綺咲は、紅とともに7月12日に兵庫・宝塚劇場で開幕する「GOD OF STARS-食聖-」「エクレール・ブリアン」の東京宝塚劇場公演千秋楽をもって退団する。

「紅さんと一緒に(卒業)というのは、最初から決めていました」

10年入団で、紅と同じく星組一筋。16年11月、紅のトップ就任と同時に相手娘役に迎えられた。初舞台作で、トップ本拠地お披露目でもあった「スカーレット・ピンパーネル」を思い出の作品にあげ「(演じたヒロインの)マルグリットは私の中でいつも生き続けています」と言う。

兵庫出身で、大阪出身の紅を慕い、人柄も尊敬してきた。「星組は明るく元気なイメージで、紅さんのお人柄もあって、より明るい組に。舞台人としても、人柄も尊敬しています」。

紅への思いは「私の宝塚のすべて」と表現。「真心をもった人との接し方。そのお人柄にも救っていただいた」と感謝した。

稽古場での集中力の高さ、綿密な役作りと、舞台人としての敬意に加えて、場を和ませる気さくな紅の人柄にもひかれていた。

「昨日の夜、お電話で『(会見は)明るく元気にいこうね』と話していたんですが、さきほど(紅の)会見後すぐに電話がかかってきて、一言目が『大号泣してしまった!』でした」

綺咲との約束を破り、涙を見せたことを、照れ隠しでおどけて報告してきたようで、綺咲は「ですので、私は気を確かに、はい、泣かないようにと思ってきました」と、拳に力を入れながら語った。

紅は、自身の会見中にも「泣いてる(大号泣の)写真は使わないで」と呼びかけていたが、綺咲を通じても「『絶対に使わんとって』って言うといて」と取材陣へ伝言を頼んだそう。会見前で緊張していた綺咲の心も和らげてくれた。

すでに退団した元花組トップ娘役花乃(かの)まりあ、元雪組トップ娘役咲妃(さきひ)みゆとは同期。2人とも連絡をとり「深呼吸して(会見に)臨んでと言われ、楽になりました」と明かした。

退団後については「今は何も考えられない。あと半年、宝塚生活をまっとうしたい」と話していた。