俳優佐藤浩市(58)と渡辺謙(59)が出席した、映画「Fukushima50」(20年公開)のクランクアップ会見を取材した。

同作品は、東日本大震災で原発事故を起こした福島第1原発が舞台で、タイトルの「Fukushima50」は、原発事故以降も現場に残り続けた50人の作業員のことを指している。

取材をしながら13年に取材をした原発作業員の50代の男性のことを思い出した。男性はFukushima50ではないが、11年の夏ごろから作業員として福島第1原発に入ってがれき撤去などの作業にあたっていたという。

男性は原発作業員になった経緯について、「誰かが行かないと、この問題は終わらない。俺たちの世代がやらなくては」と語っていたのが印象に残っている。そして、劣悪な環境と放射線量と戦う日々の話を聞いた。映画の会見で佐藤も渡辺も言っていたが、実際、その場がどんなに過酷な状況なのか想像できず、もどかしい思いをした記憶がある。再現度が高いということで、映画が楽しみだ。

一方、男性とは14年に再会したが、その後、連絡がとれなくなってしまっている。作業員の被ばく線量は健康への影響を考慮して、1年間で50ミリシーベルト、または5年間で100ミリシーベルトまでと労働安全衛生法で定められている。男性は当時、もう少しで100ミリシーベルトを超えてしまうと言っていた。14年に会ったときは原因不明の体調不良も訴えていた。

無事に、故郷に戻っているのだろうか。映画のモデルとなっている50人もそうだが、作業員たちのその後も気になる。