先日、都内で行われた兄弟フォークデュオ、ビリー・バンバンのデビュー50周年記念公演を取材しました。兄菅原孝(74)は14年に脳出血、弟菅原進(71)も同年、大腸がんの手術を受けるなど大病を克服して頑張ってきた2人。取材するのは初めてで、美しい歌声の印象しかなかったのですが、いざ取材すると、これまでのイメージが見事に崩れました。まるでお笑いコンビのようでした。

車いすに乗って公演前に会見を行った兄の孝は「僕が車いすに乗ってから新しいファンも増え、公演で涙を流す人もいる。しばらく車いすを放すことができません。死ぬまで車いすと一緒に暮らしていこうと思います」と、車イスを武器に仕事をするとジョークを言うと、進は「ちょっと待てよ。明日に向かって頑張ろうとか言えよ」とツッコミを入れていました。

また孝は「今日はギャラが出るかな」とか「弟のことを嫌いではない」と話したと思うと、絶妙な間で「好きでもない」と語るなどボケ満載の会見で、報道陣を笑わせていた。

会見の最後は孝が再び「残った人生を車いすで過ごしていきたい。もう1回、50周年迎えたらすごい」と報道陣を笑わせていました。

公演では「白いブランコ」や「さよならをするために」などを披露。取材時とは別人のように、歌声は優しく、温かく、会場を全体を包み込むような愛であふれていました。ファンに楽しんでもらい、報道陣さえも笑わせ、楽しませる。これが一緒に50年仕事をしてきた兄弟の力なんだと感じました。【中野由喜】