今月1日、女優蒼井優(33)が登壇した映画「長いお別れ」(中野量太監督)の公開記念舞台あいさつを取材した。

思えばこの2日後、蒼井は南海キャンディーズ山里亮太(42)と結婚したのだ。壇上の蒼井はにこやかだったが、結婚を読み取れる「何か」はなかったように思う。

同作は、認知症で記憶を失っていく父と見守る家族の7年間を描く。認知症の父を演じた山崎努は、スケジュールの都合で舞台あいさつには不在。それを残念がった蒼井は、演技に悩んだ10代の頃、山崎の著書「俳優のノート」に学びを得てきたと明かし、「一生懸命(本に)線を引きながら学んできて、10年以上の時を経てやっと“大先生”と共演できた感じがしました。自分にとって、ものすごく意味のある作品になりました」と振り返った。

また、変わらない家族の姿を描く同作にちなみ、これからも変わって欲しくないことを聞かれると「誠実な映画作りがなくなって欲しくない」と話した。松原智恵子、竹内結子ら先輩女優を前に「自分なんかが言っていいのか」と恐縮しながら、「本当にいい時代に映画の世界に入れてもらった。自分が映画というものに初めて10代半ばで触れて、その時の興奮を次の代の子たちにも味わい続けてもらいたい」と、思いは後輩たちへも向いていた。

話は戻って、5日の結婚会見。終盤で蒼井は「山里さんの仕事に対する姿勢を本当に尊敬しています」と結婚の決め手について語っていた。同時に、自分も仕事に没頭するタイプだと言っていた。振り返れば、舞台あいさつで見せた仕事への向き合い方には情熱を感じたし、真剣さがあった。映画の舞台あいさつと結婚会見での蒼井の姿に一貫したものを感じ、勝手ながらこの結婚にとても納得した。【遠藤尚子】