NHK連続テレビ小説「なつぞら」ヒロインの広瀬すず(21)が、28日の最終話を前にインタビューに応じ、自身の中で強かった結婚や出産願望に変化が起きたことを明かした。

演じたなつは、アニメーターの仕事と母親の両立に悩む役。子供が大好きという広瀬は「付き合うとか面倒くさいから、すぐ結婚して子供が欲しいと10代のころから思っていた。ただ20歳を超えて、実際にできなくはない年齢になると、なつの葛藤が分かる。子供が最優先という覚悟って必要。(結婚願望が)結構、なくなりました」と心境を明かした。

また「全国のお母さんはすごいな、と思う。『犠牲』という言葉を投げられるシーンがあるんですけど『犠牲かあ』と思って。自分も引きずる言葉だった。現実と考えると、一生考えるんだろうな、と思いましたね」と、演技によって母親の苦労も実感した様子だった。

先月20日に撮了。当初は「多少(ダメージに)やられる、って聞くじゃないですか(笑い)。楽しんだもん勝ちだな、と思っていた」と重圧があったことも明かした。リリー・フランキーや中川大志ら、共演経験があるキャストが多かったことが支えだったという。「ドラマ、映画、CMの全ジャンルの人たちが集まっている感じがあって、その中でも、最も仲いい人たちが集まっていて、実の姉とお芝居するようなやりづらさがあるくらい、距離近い人が多いなと思っていた。それがすごい支えになっていた。『楽しい』がずっと勝っていた」と1年を完走。「体力だったら、もう何でもいけるような気がします」と、笑顔を見せた。

北海道も舞台となった。十勝ロケでの広瀬の楽しみは「山芋のお好み焼き」だったという。「1日でもロケで行ったら、絶対食べに行ってました。最後2回くらいは、撮影が終わって飛行機まで1時間半ありますってなったら、移動で30分。『45分で食べます、45分しかないんです』ってお店の人に言って。何回行ったんだろう、と思うくらい。2日連続で行ったり。あのお店はプライベートでも行きたいと思うくらいおいしいんですよ。一番食べたものは山芋のお好み焼き(笑い)」と、わずかなオフも満喫した。

まもなく迎えるラスト。見どころは「千遥です」と断言した。なつと戦後の混乱で生き別れた、清原果耶演じる実の妹。数十年ぶりの姉妹再会シーンは、広瀬にとって戸惑いもあったという。「距離感が分からなくて。存在も近いようで会わなかったし。前はライバルのように思ってた距離感と、姉妹の距離感が分からなくて、30年ぶりに家族に会えてもこういう距離感なんだろうな、というか。ずっとしっくり来ないんだろうなと思って。不思議な感覚、不思議な空気感。難しかったですね、どのシーンよりも」と話した。

清原とのプライベートの関係にも、影響を与えたという。「清原ちゃんが何回か連絡をくれて、私これ返していいやつ?って。どこまで距離をあけていいか分からなくて、完パケとか(清原登場シーンが)出てくるじゃないですか。それも見ちゃいけないなじゃないか、と思い始めて」と役に入っていたことを回想。「普通に連絡をくれたので、1、2回返したくらいで。会おうってずっと話していたんですけど、なつぞらが決まってからは、会おうという会話もなくなり、たまに連絡を取り、という距離感でした」と振り返った。

広瀬にとって、そんな千遥との関係性も「家族観」に影響を与えたようだ。

「なつの人生としたら、親はいなくなっちゃったけど、お兄ちゃんと千遥と3人で会うことが、人生最大の求めているもの。会えたとしても30年空いちゃった分、40代から30年分を埋めたい、と思える情が出てくるのが、演じていてもあった。ある意味、なつの集大成じゃないですけど。そう見えてもおかしくない、未来はあるんですけど、いろんな人に感謝とか、生きてきた道を記すような作品が生まれる。ああ、『なつぞら』はこんな風に終わるんだ、と思うし、好きな人とモノに囲まれた人生だったな、と思える、なつの姿がある。それは運の強さであり、巡り合わせもあるんだな、と思わせてくれるような時間がいっぱい見えると思う」と、じっくり回想した。

視聴率20%前後をキープし、第100作目の朝ドラは終始好調だった。広瀬は「見ている方にも、自分と照らし合わせて、いろいろ見つめ直す、感じてもらえる作品になったらな、と思います」と、視聴者にメッセージを送った。