「第32回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞」(日刊スポーツ新聞社主催、石原プロモーション協賛)が、11日までに決まった。監督賞は「宮本から君へ」の真利子哲也監督(38)が受賞した。

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真利子監督は受賞の感想を「単純にうれしく思っています」と笑顔で表現した。

「宮本から君へ」で強烈な魂と魂のぶつかり合いを映像化した。「紆余(うよ)曲折あり(製作に)7年かかりました。強い気持ちを持ったスタッフ、キャストが一丸となってやれた」と胸を張る。続けて「平成が終わって令和というこのタイミングが一番強く、正しくやれた」と原作から30年たった今だからこそ伝わることがあると強調した。

さまざまな“バトル”がリアルに描かれ、目を覆いたくなるシーンも「世の中に存在する物から目を背けてしまうのはどうなんだろう」との信念を曲げずに取り組んだ。ぶつかり合いを真っ正面から表現する真利子監督の真骨頂だ。

現在は「視野を広げるため」に、米ボストンで映画や文学について学んでいる。吸収したことを再び映画に還元していく。【佐藤成】

◆真利子哲也(まりこ・てつや)1981年(昭56)東京都生まれ。法大在学中、8ミリフィルムで自主制作した短編作品が国内外で注目を集める。東京芸大大学院修了作品「イエローキッド」が異例の劇場公開に。16年公開の「ディストラクション・ベイビーズ」が第69回ロカルノ国際映画祭で最優秀新進監督賞受賞したほか、国内外の映画賞で多数の賞を受賞。

▽監督賞・選考経過

真利子監督について「新しい一面を見た。これまでは体で感情をぶつけるアプローチ。今回は言葉の戦い」(伊藤さとり氏)「脚本もよく組み立て、きちんと構成した」(寺脇研氏)と評価が高く、1回目の投票で決定。