1950年代末から60年代にフランスで起きた、映画のムーブメント「ヌーベルバーグ」を代表する女優アンナ・カリーナさんが14日、パリの病院で亡くなった。79歳だった。代理人がAFP通信に「ガンで亡くなった」と明らかにした。

デンマーク出身のカリーナさんは、里親や祖父母に育てられるなど不遇の幼少期を過ごし、17歳の頃、女優を夢見てヒッチハイクでパリに向かい、フランス語も話せない中でモデルの仕事を始めた。60年にジャン・リュック・ゴダール監督の映画「小さな兵隊」で女優デビュー。翌61年に同監督と結婚すると、同年の映画「女は女である」でベルリン映画祭女優賞「銀熊賞」を受賞し一躍、スターダムに。65年に離婚も同年の「気狂いピエロ」など同監督の映画に出演し、ミューズ(女神)と呼ばれた。

シックなファッションやメークも注目され、世界各国で文化のアイコンとして支持された。“渋谷系”と呼ばれるJポップやファッションのムーブメントが起きた90年代の日本でもブームとなり、ピチカート・ファイヴらに影響を与えた。

昨年9月にはアルバム「アンナ・カリーナ 冒険する私」リリースを記念して18年ぶりに来日。「日本は何度も来ていて、大好きで特別な国」と語っていた。

◆アンナ・カリーナ(本名ハンネ・カリン・バイヤー)1940年9月22日、デンマーク・コペンハーゲン生まれ。芸名のアンナ・カリーナは、シャネルの創業者ココ・シャネルに命名された。フランス国営テレビで初のカラー番組として放送された66年のミュージカル映画「アンナ」では、セルジュ・ゲンスブールが作詞、作曲した劇中歌「太陽の真下で」を歌い、歌手としても成功。72年には自らプロダクションを立ち上げ、ドラマを制作するなど監督としても活躍した。