女優長沢まさみ(32)が、実際の殺人事件から着想を得た映画「MOTHER マザー」(大森立嗣監督、今夏公開)に主演、息子にゆがんだ愛情を注ぐ破滅的な母親を演じる。長沢にとって初の汚れ役。21日、ビジュアルが解禁された。

「MOTHER」は、約5年前に起きた少年による祖父母殺害事件がモチーフ。長沢が演じる少年の母秋子は、ゆきずりの男と関係を持ち、自堕落で奔放な女として描かれる。息子を過剰に愛する面もあり、複雑で難しい役どころだ。

長沢は自ら出演を決めたという。「結婚しておらず、子供がいない自分は、母親目線でなく息子の周平の目線で脚本を読んでいました。他人ごとじゃないと思わせられるリアルさがあって、母親の存在の大きさについて、親が子を育てる責任について考えさせられ、この役を演じてみたいと思いました」と話している。

汚れ役とはいえ、秋子について「視点の違いで理解が大きく変わる独特なキャラクター」ととらえている。

最近では「コンフィデンスマンJP」シリーズや「キングダム」など、快活さで魅了してきた長沢が、今までにない表情を見せる。

大森監督も「秋子は強烈で想像を超えたキャラクターなので演じるのが大変だったと思いますが、撮影を進めるにつれ、長沢さんが作品の中でどんどん大きな存在になっていきました。非常によい表情を収めることができた」と話す。

阿部サダヲが、秋子と同居するホストを演じる。阿部が「なかなかこのような役(まったく思い入れることができないダメな男)」と話すほどのダメ男役だ。

初共演の長沢について、阿部は「長沢さんは、シリアスからコメディーまで何でもできる女優さんということは分かっていました。母親役の印象はあまりなかったのですが、すごくグッときました」と振り返った。

製作は「新聞記者」「宮本から君へ」などで知られるスターサンズ。