先日、当コラムで、鈴木杏樹(50)との不倫が発覚した喜多村緑郎(51)について、「役者」としても「夫」としても正念場と書いたが、17日に喜多村が出演する新派公演「八つ墓村」を観劇し、18日には歌舞伎座ギャラリーで行われたトークショーにも行った。

「八つ墓村」では金田一耕助と30人殺しの要蔵など3役を演じたが、カーテンコールでは主役にもかかわらず、表情は硬かった。初日から2日目ということで、まだ「針のむしろ」状態なのだろう。

トークショーでは、冒頭で「自分の人生、役者としての人生をもう一度深く見つめ直して生きていきたい。こんな喜多村緑郎ですが、今後ともよろしくお願いします。このたびは大変申し訳ありませんでした」と頭を深々と下げ謝罪した。

その後は、歌舞伎俳優時代のエピソード、14歳で亡くなった妹のこと、大歌舞伎出演が決まったことを亡くなる直前の母親に知らせることができた思い出、新派に移籍した経緯を話した。そして、「八つ墓村」で演じる金田一耕助について「金田一っていうのは、人の欲望ってものを一番分かってるんですよね、っていう人間がこんなことしてすいません」と自虐コメントで、会場は爆笑となった。

最後に師匠市川猿翁への思いを聞かれると、目を潤ませながら「旦那(猿翁)に対して、今回のことは申し訳ないと思う。死んだ母や妹、お客さんに対しても。きちんと生きていかないと、と思いました。言いたいことはたくさんあるけど、言い訳は一切しない。とにかく舞台をするしかないし、釈明は舞台の上だけです」と声を詰まらせ、「こうなったのは僕の責任。こんな中、来てくださってありがとうございました。一生忘れません」と、再び頭を下げた。

不倫は本人の責任で批判は仕方がないけれど、新派の若手女優に関係を迫ったなどという記事が報じられ、ワイドショーなどでも拡散した。自業自得と言えば、簡単だけど、こういう形で「有名」になったことに、長い間、彼の舞台を見て来た者にとって釈然としない思いがある。「釈明は舞台の上で」という彼の今後の演技に注目したい。【林尚之】