元日本ハムの岩本勉氏(48)が27日、埼玉県川口市で営まれた、文化放送アナウンサーの松島茂(まつしま・しげる)さん(享年47)の通夜に参列し「早すぎますよ。それが1番です」と目を潤ませた。

岩本氏は、松島さんと同学年で、現役時代に松島さんから「同級生だね」って話しかけてもらい、親しくなったという。引退から2カ月後の06年3月に文化放送でスタートした「岩本勉のまいどスポーツ」(月曜午後6時)では、07年2月から松島さんとダブルパーソナリティーを務めてきた。

岩本氏は「僕が現役の時から、彼は放送界にいて、現役を終えてからもメディアのことをいろいろ教えてくれました。僕の行動や発言を、すごく肯定してくれた」と目に涙を浮かべながら思い出を語った。そして「彼の方が、この業界は大先輩ですし、彼に助けてもらったことばかりしか記憶にないですよね」と松島さんに感謝した。

場内のビジョンには、「岩本勉の-」の放送10周年、500回を記念して、16年3月20日に同局で開催された舞台「まいど! 新選組」の映像が流された。壇上で必死に、それでいて楽しそうに演じる松島さんと岩本氏の姿に見入る参列客も少なくなかった。岩本氏は「楽しいとともに、彼が1つのことに、一生懸命ではなく、『一所懸命』に取り組む男。人との接し方も、仕事の向き合い方も、手を抜いているところは何1つ、見たことがないし、それで疲れないのかな? と心配したほど。『もっと柔らかくいこうぜ、松ちゃん』と、よく言うたのも覚えている」と振り返った。

その上で「相手の気持ちを先に考える人格者が、病に倒れて、そのまま逝ってしまうというのは、本当につらい話。僕の数少ない親友の1人。親友とは、そんなに数多くいるものではない。大親友の1人でした」と言い、声をつまらせた。

松島さんは19年10月、息苦しさなどの体調不良が続いたため、検査したところ病気が判明し、同11月25日に生放送された「岩本勉の-」への出演を最後に同12月から療養。23日午前7時20分に入院していた都内の病院で亡くなった。岩本氏は亡くなる前も対面しており「2週間前に会った時も、すごく元気やったんで怖くて、ひつぎの顔が見られなかった」と、いまだに松島さんの死を受け入れられない心情を吐露した。

松島さんの生前の人柄を表すように、この日は斎場の1階から3階まで多数の参列者が行列を作った。岩本氏は「この行列を見てもらって分かると思うんですけど、それが彼の人柄の全てだし、残した財産だと思う。彼の財産、人との付き合いを私たちは継承したい。それが、彼が望んでいることだと信じているし」と声を大にした。

今後の「岩本勉の-」について聞かれると、岩本氏は「いろいろなアイデアを出し合ってやってきたんで、彼の気持ちを必ず継承しながら、情熱を絶やすことなく、我々は伝え続けていかなくてはならない」と、松島さんのスポーツへの情熱を伝えていく覚悟を口にした。

その上で「野球を、スポーツを愛してもらっている人に、松島茂の魂を、ずっと伝え続けたい。彼が一途に届けたスポーツの素晴らしさと、メディアとの融合の大切さを、僕はずっと、ずっと意識してきた。彼のためにも活動を続けていきたいと思います」と、松島さんのDNAを番組に残し続けることを誓った。【村上幸将】