史上初めて宇宙空間で映画の撮影を行うと報じられた米俳優トム・クルーズ(57)が、民間宇宙ベンチャー「スペースX」とNASAとタッグを組んで宇宙で製作するアクション映画が本格始動していることが明らかになった。

映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(14年)や「バリー・シール/アメリカをはめた男」(17年)でクルーズとタッグを組んだダリ・リーマン監督が、この壮大なプロジェクトでメガホンを取ることが決まったとオンライン芸能情報サイト、デッドラインなどが報じた。クルーズは今月初めにスペースXを率いるイーロン・マスクCEOとNASAの協力を得て宇宙で映画を撮影するプロジェクトが初期の企画段階であると報じられていた。

現段階でプロジェクトの全容は明らかになっておらず、クルーズは撮影前に宇宙に行くためのトレーニングを行う必要もあることから撮影時期なども不明。クルーズは新型コロナウイルスの影響で撮影が中断している「ミッション:インポッシブル」シリーズ第7弾と第8弾の撮影を控えており、一方のリーマン監督も俳優トム・ホーランドと女優デイジー・リドリー主演の「カオス・ウォーキング」の仕上げ作業に入っていることから、新たなプロジェクトに着手するにはもうしばらく時間がかかりそうだ。

スペースXは27日に、11年にスペースシャトルが退役して以来9年ぶりとなる米国からの有人宇宙船の打ち上げとなる初の有人飛行の実施を予定していたが、天候不良で30日に延期されることになった。打ち上げが成功すれば、NASAは本格的に国際宇宙ステーション(ISS)への宇宙飛行士の輸送を民間企業に委託するようになると言われている。NASAはISSの商業化の一環として民間宇宙旅行の実現も目指しており、ジム・ブライデンスタイン長官は、「NASAはトム・クルーズがISSで映画を撮影することに興奮しています」とコメントしている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)