違法薬物を所持したとして、覚せい剤取締法違反(所持)と医薬品医療機器法違反(同)の罪に問われたシンガー・ソングライター槇原敬之(本名・範之)被告(51)の判決公判が3日、東京地裁(坂田正史裁判官)で開かれ、懲役2年、執行猶予3年の判決が言い渡された。

槇原被告は濃紺の上下のスーツで、黒ふちめがねに白いマスクをして出廷。裁判長からの判決を、まっすぐ前を見すえながら聞いた。

判決によると18年3~4月、仕事場などとして使用していた東京・港区のマンションで危険ドラッグ「ラッシュ」約64・2ミリリットルと覚醒剤約0・083グラムを所持。今年2月には東京・渋谷区の自宅でラッシュ約3・5ミリリットルを所持した。裁判長は「使用目的ではないという供述しているが、抵抗感の乏しさを背景にした悪質な犯行であり、相応の非難は免れない。刑事責任は軽いものではない」と指摘した。また「反省の態度を示すとともに、二度と違法薬物に手を出さないと誓っている。前科があるが、かなり古いものになっている」として、執行猶予について言い渡した。

説諭などはなく、淡々と判決を聞いた槇原被告は最後に「ありがとうございました」と一礼して、退廷した。弁護人によると、控訴はしない方針という。

槇原被告は先月21日の初公判で起訴内容を認めつつ、ここ数年の薬物の使用は否定。検察側は「常習性、依存性があり、厳罰が必要」と指摘し、懲役2年を求刑。弁護側は執行猶予付きの判決を求めていた。

この日の判決公判は、同地裁で最も大きい「104号法廷」で開かれ、一般傍聴席29席に対して204人が並び、倍率は7倍だった。