声優と歌手としても人気の宮野真守(37)が5日、東京建物Brillia HALLで上演中の主演舞台「カチカチ山」と、同劇場で同日、開幕する福士蒼汰(27)主演の3人芝居「浦島さん」の上演を受けて、囲み取材に応じた。

宮野は、劇団☆新感線の17年「『髑髏城の七人』Season月」で主人公の捨之介を、福士と同劇団史上初のダブルチームで演じた。そして今秋、上演予定だった「いのうえ歌舞伎『神州無頼街』」で福士と初めてタッグを組む予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、8月3日に22年春への開催延期が発表された。同公演の開催延期が決まった後、同劇団が今できるエンターテインメントを発信しようとプロデュース公演を企画した際、福士と宮野が手を挙げて実現したのが、前日4日に開幕した宮野主演の2人芝居「カチカチ山」と「浦島さん」だ。

宮野は前日、初日を終えた「カチカチ山」について「2人芝居。なかなかない機会。今までにないセリフ、運動量。昨日の初日は手応えがある。これから、ますます面白くなっていくと思う」と胸を張った。観客は収容人数の半分の550人程度と絞っているが「お客さんが半分で、どのような反応になるかが未知数だった。お客さんも久々に見るという心地だっただろうけれど、僕が舞台に出ると拍手が出た。この温かさが舞台の良さ。半分とか関係なく、パフォーマンスを感じて頂くのは幸せ」と笑顔で振り返った。

「神州無頼街」については「(脚本は)僕らを当て書きしてもらった作品。やっぱり、僕らにとって、とても特別な作品になる。出来なかった悔しさがあった」と公演延期への無念の思いを隠さなかった。その上で「落ち込んで下を向くんじゃなく、ソーシャルディスタンス芝居を作って頂いて、芝居の可能性が広がったのは良い。舞台に立つ自信がついてくる。パワーアップする僕らを見てもらえる」と、今回の「カチカチ山」での進化を約束した。

カチカチ山では、自己肯定感が強めで次第にタヌキの姿になっていく自称作家の男を演じる。囲み取材にはタヌキの格好で登場したが「こんなに汚い衣装で舞台に立つのは初めて。太宰の目線が入り、けれん味、屈折が入ってくるのが面白い。1人の男が欲望に対し、どう向かい合って認めていくのか…楽しんでもらえるんじゃないか」と胸を張った。

取材陣からは、TBS系で13日に放送されたドラマ「半沢直樹」第8話で、片岡愛之助演じる金融庁担当検査官の黒崎の部下、古谷役を演じた際、話題の“急所つかみ”をされたシーンを演じたことを突っ込まれた。宮野は「急所をつかまれるシーンは…あれっきりです」と笑った。