女優木下渓(14)が映画「滑走路」(大庭功睦監督、11月20日公開)でメインキャストの1人に抜てきされた。17年に亡くなった歌人萩原慎一郎さん(享年32)の死後に出版されたベストセラー歌集「滑走路」を原作に映画化。中学生のいじめ問題、キャリアと夫との不和に悩む女性(水川あさみ=37)、非正規雇用問題に立ち向かう若手官僚(浅香航大=28)の3世代の悩みをリンクさせながら描かれる。

木下は幼なじみをかばっていじめの標的になってしまった学級委員長(寄川歌太=16)と心を通わせる、絵を描くことが好きな中学2年生の女子・天野役。

17年にオーディションに合格して芸能界入り。大人の中で演技する事が多かったが「同世代と一緒にお芝居をするのは新鮮でした。自分の周りにはいじめはありませんが、現実は大変なんだなと考えさせられました。天野はおとなしい女の子ですが、自分はよく男勝りと言われます」と話している。

デビューのきっかけになったオーディションは祖母の勧めで受けた。「初めは演技とかは分からなかったんですが、いろいろな人の人生を演じることは楽しいですね。何か作品を残せるということは、すごいことだなと思うようになりました」。相手役の寄川については「カッコイイですね」と笑顔を見せる。

おとなしい少女の役が多いが、趣味はギター演奏でロックが大好き。「父がバンドマンだったので、いろいろな楽器を演奏するんです。ギターを弾いてる父をカッコイイなと思って、アコースティックギターを始めました」。好きなロックバンドはガンズ・アンド・ローゼズとボン・ジョヴィ。「ガンズの『ユー・クッド・ビー・マイン』は1日に1回は歌います」と言う。

好きな俳優はグッと渋く96年に亡くなった渥美清さん(享年68)。渥美さんが主演した映画「男はつらいよ」はシリーズ全48作を見ている。「寅さんを見て好きになりました。バラエティーとかで自分の素をあまり出さずに、寅さんのイメージを守ったところにかっこよさを感じました」。

コロナの自粛中は映画を見まくった。「学校が3カ月休みになったんですけど、たまに手紙が来てそれに宿題が入っている。映画を見て、オールしちゃうこともありました」と振り返る。

女優業にはまり始めているが、まだ14歳。「いろいろな事に挑戦したい。自然が好きで、動物も好き。動物はアヒルとオオカミが好きで、アヒルを2羽飼っていました。英語も得意なんで、海外で自然と動物を守る仕事に挑戦できたらいいですね」と夢見る。人生の滑走路を走り始めたばかりだ。

 

◆木下渓(きのした・けい)2006年(平18)5月28日、神奈川県生まれ。17年所属事務所のオーディションに合格。CM出演やモデルをこなし、19年映画「鈍色のキヲク」で女優デビュー。同年映画「世界から希望が消えたなら。」でトルコのアンタキヤ映画祭で最優秀女優賞。20年舞台「ロミオとジュリエット」、NHK「太陽の子」。趣味はギターの練習、歌、おしゃべり、絵を描くこと。154センチ。