永作博美(50)が23日、都内のTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた主演映画「朝が来る」初日舞台あいさつで、河瀬直美監督(51)から指示を受け、夫役を演じた井浦新(46)と赤ちゃんを包む、おくるみなどを2人で購入して、東京から広島まで運んだと明かした

永作と井浦は劇中で、無精子症で1度は子どもを持つことを諦めた栗原清和、佐都子の夫婦を演じた。栗原夫妻は特別養子縁組という制度を知り、14歳だった少女片倉ひかりが産んだものの、育てられなかった男の子を迎え入れた。河瀬監督は俳優陣に、演じる役として住む家やロケ先で、撮影前から実際に生活するなど、登場人物が経験することを物語の順番通りに経験する機会を作り、要求もする。その独特の演出法を“役積み”と呼んでいる。

永作は「(監督から)全て赤ん坊のものを、まずそろえてくれと。大体、そういったものは美術さんのお仕事で、そろえて監督と話して、現場に持ってきてくれる。今回に関してはおくるみも、肌着も、よだれかけも、おむつも、ミルクも、入れたバックも中身を、自分たちで時間をかけて選んで、東京から広島に持って行った」と役積みについて振り返った。河瀬監督が「(役積みでは)当たり前やもんな!」と笑うと、井浦は「あるモールで、2人で買いに行った。(通販は)ダメなんです」と振り返った。

永作が「監督の指示の中で『黄色にして』という指示があって…黄色が本当になかった。生地屋さんにまで行き、見せてもらい、これ縫う? と言った」と苦笑いした。井浦は、買い物にカメラマンが帯同していたかと聞かれると「(カメラは)もちろん、回っていないです」と即答。河瀬監督が「(買い物の場に)私もいないし」と続けると、永作は「だから、一般の方に写真を撮られたら、どうしようかな? という感じ」と苦笑いした。河瀬監督も「どういう仲? みたいな…ね」と笑った。

「朝が来る」は、辻村深月氏の同名小説の映画化作品。栗原夫妻は迎え入れた男の子を朝斗と名付けて育て始めるが、6年後、ひかりを名乗るも面影がみじんもない女からを名乗る「子どもを返してほしいんです。それが駄目ならお金をください」という電話がかかってきて、一家に危機が訪れるヒューマンミステリーだ。

この日は、ひかり役の蒔田彩珠(18)、特別養子縁組の制度の普及に努める、NPO法人代表・浅見静恵を演じた浅田美代子(64)が登壇した。