日本映画製作者連盟(映連)は29日、河瀬直美監督(51)の新作「朝が来る」(10月23日)を、第93回米アカデミー賞国際長編映画賞に出品する、日本代表に選出したと発表した。映連は、アカデミー賞を主催する米国の映画芸術科学アカデミーから国際長編映画賞に日本映画1本を選考し出品する依頼を受けており、外部委員による選考会を行い、出品作として「朝が来る」を決定した。

「朝が来る」は、新型コロナウイルスの感染拡大で通常開催が見送られた世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭(フランス)の公式ラインアップに選ばれている。

加えて、アカデミー賞の前哨戦として知られる、ハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)主催のゴールデングローブ賞のノミネートの対象作品にも入った。河瀬監督はHFPAが試写会後に開いたQ&Aにリモートで参加。同賞は例年、12月初旬にノミネート作品が発表され1月初旬に授賞式が行われるが、今回は新型コロナウイルス感染拡大を受け、ノミネート作品の発表は21年1月末、授賞式は同2月28日(現地時間)に予定されている。ノミネートされれば、監督人生25年で初めて。

「朝が来る」は、辻村深月氏の同名小説の映画化作品。無精子症で1度は子どもを持つことを諦めた栗原清和(井浦新)と佐都子(永作博美)の夫婦が、特別養子縁組という制度を知り、14歳の少女片倉ひかり(蒔田彩珠)が産んだものの、育てられなかった男の子を迎え入れて朝斗と名付けた。6年後、ひかりを名乗るも、面影がみじんもない女から「子どもを返してほしいんです。それが駄目ならお金をください」という電話がかかってきて、一家に危機が訪れるヒューマンミステリーだ。