漫画家・吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)氏原作の人気漫画「鬼滅の刃」のアニメ映画化した「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」(外崎春雄監督)公開御礼舞台あいさつが31日、都内で行われた。映画の終盤で、主人公竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が加入する鬼殺隊の最高位“柱”の1人で、炎の呼吸を使う炎柱・煉獄(れんごく)杏寿郎と、上弦の参の鬼・猗窩座(あかざ)との激闘が展開されるが、猗窩座を演じた石田彰が、舞台あいさつに初めて登壇した。

炭治郎を演じた花江夏樹は、煉獄役の日野聡と石田のアフレコについて「日野さんと石田さんのお芝居がすさまじすぎて緊張感が半端なくて、後ろで(アフレコの様子を)見ていたのですが、音を立てちゃいけないというプレッシャーの中、おふたりの芝居を見つつ、炭治郎の出番の緊張感がすごかったですね。本当に熾烈(しれつ)な戦いが繰り広げられているんだなというのが、アフレコ現場からも、ひしひしと感じました」と語った。

日野は「猗窩座と対する点で、まずは煉獄の人としての強さ、心の強さを意識しました。かつ柱といえども上弦の参というものすごい強敵と戦う上で、力には限界がありながらも、精神力という意味では上弦の参の鬼をも上回る思いで、りりしく演じようと心掛けていました」と役作りを振り返った。その上で、石田との共演について「白熱しましたね。収録自体が(コロナ禍の)自粛期間前だったので、石田さんと花江くんはじめ、みんなと収録することができたので、同じ空間で熱量を感じながら演じられたというのが非常に大きかったです。石田さんの胸をお借りして、煉獄の思いを全力でぶつけさせていただきました」と明かした。

一方、石田は演じた猗窩座について「映画の台本を読ませていただいて、猗窩座という役がどうしてもエッジの効いた、とがっている人ように思えて、ただ強さだけを求めている姿がどうも普通じゃないと考え、そういう面を出すことで煉獄さんの対比になればと思いました」と語った。その上で「(猗窩座が)映画で初登場なわけですよ。煉獄はテレビシリーズで、しっかりキャラクターが作られていて、そこに対抗馬としていきなり出てくる…そこまでのキャラクターをやらなきゃいけないというところは、プレッシャーでもあり、僕の方こそ全身全霊でぶつかっていかないと、人に胸を貸してる場合じゃないなと思いました」と続けた。煉獄は今回の映画で初めて任務に挑む姿が描かれたが、猗窩座は映画で初登場したキャラクターだからこそ、全身全霊で挑んだ思いを明かした。

石田の話を聞いた日野は「煉獄の強さは、家族、後輩、仲間、困っている全ての人々を助けたいという想いにある。その思いが自分も高見へと持ち上げ、強くなれるというところが彼の魅力だと思います。彼の母の教えと、柱として鬼殺隊として今まで鬼を倒してきたからこそ、猗窩座を前にその強さが出せたのではないかと思います。猗窩座は猗窩座で武を極めるという強さを持っていて、出会うタイミングというか、うまく歯車がかみ合ったら、すごく仲良くなれるんじゃないかとも思ってましたね(笑)」と煉獄と猗窩座の共通点を指摘した。

石田は「猗窩座の強さというのは煉獄と違って自分のために強くなるというところに特化していて、強くなる以外は全部排除してもいいという極端な目的を達成しようとするところに(強さ)があるんじゃないかなと思います。人のためになんか強くなれない、己のためにやらなきゃ本当の強さは得られないんだという、人を諭したり教え導いたりするのには使いづらい理屈を持っていて、その強さは正義的な強さではないなと思いますね」と、逆に、猗窩座が持つ独特の強さの魅力を語った。

花江は2人の話を聞き「日野さんと石田さんのお芝居を目の当たりにして、細かいことを考えるというよりも感情のままに、炭治郎の力ではどうにもできない悔しさを思いのままにぶつけようと思いましたね」と炭治郎を演じるに当たって、その場にいるような感覚で演じたと語った。

激闘を描いた映像美とダイナミックな演出について、日野は「息をするのを忘れてしまうくらい圧倒されました。技の応酬や、表情、呼吸、音楽、最後のエンドロールに至るまで全てすさまじくて見終わった後は放心状態で圧倒されました」と絶賛。石田は「僕らが収録した時は、もちろん音が入っていないのですが、完成品を見るとやっぱりすごいなと思いました。思っていた以上にこんなことになってるのか、というのがあって、もちろんアフレコの時点で100%の力でやっていたのですが、より良くしたいなという欲がでるくらい、完成版のすごさがありましたね」と改めて驚いた。

花江は「格好良すぎて、泣くことってあるんだなと思いました。猗窩座の術式展開が綺麗でしたね。煉獄さんや猗窩座の戦いの一連は大迫力のあるスクリーンで観る価値がありますし、一回で戦いを追えないので何回でも見に行きたくなりますよね」と映画の魅力を語った。