テレビ朝日は21日、情報ニュース番組「大下容子ワイドスクランブル」第2部(月~金曜正午)で不適切な演出が行われていたことを明らかにした。報道各社へのファクスで発表した。

月曜から木曜日までの番組終了間際に、通常2分ほど放送する「視聴者からの質問にお答えするコーナー」で、今年3月以降、事前に番組側が用意していた質問が、視聴者からの質問として放送された事例が見つかったという。

大下容子アナウンサーはこの日の生放送で「ここで視聴者の皆様におわびがございます」と今回の番組の不祥事について言及。「この時間に視聴者の皆様から番組にお寄せいただいた質問をご紹介してまいりました。その質問内容を番組スタッフがあらかじめ用意し、視聴者の皆様からの質問であるかのように放送していたケースがありました。本当に申し訳ございませんでした」と謝罪する場面があった。

同局広報部によると、質問を用意したのは40代の男性チーフディレクターで、テレビ朝日映像株式会社所属の社外スタッフだという。チーフディレクターによると、放送に向けた準備のため、それまでに寄せられた意見や質問を踏まえて、放送前に想定質問案を作っていた。今年3月以降、その想定質問が放送で使用されたという。

先週末に、番組内スタッフからの指摘より発覚し、テレビ朝日映像が把握。その後、テレビ朝日に報告されたという。

チーフディレクターは「視聴者からの質問や意見には日々、放送終わりに目を通しており、過去に読んだ質問や意見も踏まえて視聴者が聞きたいこととニュアンスが同じであれば、自分が用意した想定質問を使っても問題ないと思っていた」などと説明しているという。同局は、これまで放送してきた約2割が想定質問だったとしている。

同番組は同局がテレビ朝日映像に制作を委託している。チーフディレクターがこのコーナーを取り仕切る立場にいたため、この間に不適切な演出は見つけられなかったという。テレビ朝日のチーフプロデューサー、プロデューサーも不適切な演出を把握できなかったという。

同局広報部は「今後、視聴者からの質問に答えるコーナーは休止し、制作体制の問題点を徹底的に検証します。さらに、弊社とテレビ朝日映像はそれぞれの社内規定に従い、関係者を厳正に処分いたします」としている。

その上で「番組への信頼を大きく損ねる許されない事案であり、視聴者ならびに関係者の皆様に深くおわびいたします。再発防止を徹底し、信頼回復に努めてまいります」と謝罪した。

大下アナも番組の最後に「失ってしまった信頼を取り戻すべく、1日1日の放送をより真摯(しんし)に行ってまいります」と深く頭を下げた。