俳優の渡辺徹(わたなべ・とおる)さんが11月28日、敗血症のため亡くなった。61歳だった。所属事務所の発表によると先月20日に発熱、腹痛などの症状が出たために都内の病院に受診したところ、細菌性胃腸炎と診断され入院。その後、敗血症と診断され治療を受けていたという。

渡辺さんは1980年に文学座付属演劇研究所に入所し、81年に日本テレビ系「太陽にほえろ!」でラガー刑事役でデビュー、アイドル的人気を得た。翌82年に「彼(ライバル)」で歌手デビュー。同年のグリコ「アーモンドチョコレート」のCM曲「約束」が大ヒット。85年に文学座座員となると、87年10月に日本テレビ系ドラマ「風の中のあいつ」「気になるあいつ」で共演した榊原郁恵と結婚。披露宴の模様はテレビで生中継された。89年に長男のタレント渡辺裕太、96年に次男が誕生している。渡辺さんはテレビをはじめ、ドラマや舞台など幅広く活躍した。

おしどり夫婦としても知られ、昨年は家族で朗読劇「いまさらふたりでPart2 朗読劇『家庭内文通』~きっかけはいつも夫婦喧嘩! 家族の愛情物語~」に出演。また、「いい夫婦パートナー・オブ・ザ・イヤー2021」を受賞し夫婦そろって登壇し、渡辺は「身にあまる光栄ってこういうことを言うんだとまさしく思った」としみじみ語っていた。

一方で、長年にわたり闘病していた。1991年に急性糖尿病で入院。2012年、虚血性心疾患のため、心筋梗塞の手術を受けた。13年には急性膵炎(すいえん)で緊急入院。21年5月には大動脈弁狭窄(きょうさく)症で手術を受けていた。

関係者などによると渡辺さんの最後の仕事は11月19日に秋田市で行われた「心臓病とともに元気に生きる」をテーマにした秋田大学医療フォーラムだった。自身のインスタグラムで秋田訪問を報告していた。また、俳優としての最後の仕事は11月6日の舞台「今度は愛妻家」の宮城公演への出演だったという。

なお、家族の意向により、葬儀は家族葬で執り行い、後日、お別れの会を予定している。また後日、榊原と裕太の会見も予定しているという。