ウイスキーを身近なお酒として日本に定着させたサントリーの「トリス」が、70周年を迎えた。くしくも日本初のスポーツ新聞である日刊スポーツも、今年が創刊70周年。ともに時代を先取りし、それぞれの分野をけん引してきたという共通点がある。
トリスウイスキーは1946年(昭21)4月に寿屋(現サントリー)から発売された。50年には全国に「トリスバー」が誕生し、夏の飲み方として提案したハイボールが話題になって「トリハイ」が浸透した。64年には「トリスを飲んでハワイへ行こう」企画も実現した。61年に広告で予告、当選すれば64年の海外旅行自由化に合わせてハワイへ招待という販促だった。今では海外旅行は当たり前だが、当時は時代の流れを先取りして話題となった。
その64年はスポーツ界もビッグイベントに沸いた。東京五輪だ。日本は金16、銀5、銅8と計29個のメダルを獲得、日刊スポーツでもアジア初の五輪を連日8~10ページで報道した。プロ野球はON(王・長嶋)の活躍で巨人が65年から日本シリーズ9連覇、相撲では大鵬、柏戸がしのぎを削り柏・鵬時代に。日本のスポーツ界もまた新たな局面を迎え、日本中が盛り上がった。
トリスは宣伝方法もあか抜けていた。CMキャラクターのさきがけとなる「アンクルトリス」や、「うまい、やすい、トリス」などの名キャッチコピーを生み出した。56年にはトリスバー向けのPR誌「洋酒天国」を発刊。同誌の編集兼発行人はのちに芥川賞作家になった開高健氏で、山口瞳氏(直木賞受賞)やアンクルトリスの生みの親でイラストレーターの柳原良平氏らが編集を担当した。全員が寿屋の宣伝部員だった。
誕生から70年たった現在、ハイボールブームが復活し、日本人が海外を目指した高度成長期とは逆に、空前の外国人来日がブームになっている。2度目の東京五輪も決まった。似て非なる時代の再来とでも言おうか。「アンクルトリス」もさぞかしびっくりしているだろう。今月20日まで期間限定でオープンしていた記念の「トリスBAR」も、70年前をほうふつとさせるレトロな雰囲気で好評だった。