是枝監督「愛に包まれ感動」新作カンヌ映画祭で上映

 第69回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で、是枝裕和監督の新作「海よりもまだ深く」が上映された。上映後、総立ちの客席から盛大な拍手と歓声を受けた是枝監督は「お客さんの表情が温かくて、優しくて。愛に包まれて感動しました」と頬をゆるませた。

 映画は、作家として成功する夢を諦めきれない中年男と、愛想を尽かして離婚した妻と子、団地で独り暮らしをする母のドラマを描く。是枝監督が20年近く住んだ東京郊外の団地で撮影された。

 「自分の育った風景がこの場所で上映されるのは感慨深かった。駅の立ち食いそばが“カンヌデビュー”かと思うと特別な思いがありましたね」と監督。「そして父になる」「海街diary」に続き3作連続のカンヌ出品となったが「映画を愛し、映画と真剣に向き合うこのステージに作品を持ってこられるだけで誇りに思う」と語った。

 カンヌ初参加の主演の阿部寛はレッドカーペットを歩いた感想を「いよいよここに立てたなと。監督と(共演者ら)皆さんと一緒に来られたことがうれしい」と笑顔。

 昨年の河瀬直美監督「あん」に続いての参加となった樹木希林は「映画に関係する若い人たちは一度は来てほしい」。改めてカンヌで本作を鑑賞し「監督が粉でも振りまいたんじゃないかと思うぐらい(役者が)みんな上手に見えました」と話して報道陣を笑わせた。

 「海よりもまだ深く」は21日公開。