最終回「べっぴんさん」に込めた想いとは/あらすじ

「べっぴんさん」キャストの井頭愛海(前列左端)江波杏子(同右端)、(後列左から)森永悠希、古川雄輝、林遣都、久保田紗友と、ヒロイン芳根京子

 女優芳根京子(20)がヒロインを務めるNHK「べっぴんさん」(午前8時)が1日、最終回を迎えた。

 これまでのあらすじは以下の通り。

<第1週>想いをこめた特別な品(10月3日(月)~10月8日(土))

 昭和9年。坂東すみれ(渡辺このみ)は、繊維会社を営む父の五十八(生瀬勝久)、姉のゆり(内田彩花)と一緒に神戸の洋館で暮らしていた。ある日、すみれは屋敷に出入りする靴屋の麻田(市村正親)の「下手でも思いを込めてものを作ることが一番大事」という言葉を胸に刻みこむ。入院中の母・はな(菅野美穂)はなに会いに行ったすみれは、幾度となく作り直した刺しゅうを手渡す。それを見たはなは「べっぴんやな。一生の宝物や」と喜ぶのだった。それから8年後、17歳になったすみれ(芳根京子)は、女学校で良子(百田夏菜子)、君枝(土村芳)と3人で手芸倶楽部を結成していたが、太平洋戦争の影響で生活の変化を余儀なくされる。

<第2週>しあわせの形(10月10日(月)~10月15日(土))

 すみれ(芳根京子)は幼なじみの潔(高良健吾)に思いを寄せていたが、姉のゆり(蓮佛美沙子)と結婚することになる。すみれは父・五十八(生瀬勝久)からきた縁談話を承諾。その相手は幼なじみの紀夫(永山絢斗)だった。しかし、紀夫に召集令状が届き、お腹の子供を託されたすみれは、夫不在の中、娘のさくらを出産し、その後近江の坂東本家に疎開する。昭和20年8月、終戦の日を迎えたすみれは神戸に戻る。そこで目にしたのは、焼け野原になった街だった。

<第3週>とにかく前に(10月17日(月)~10月22日(土))

 神戸の家を失ったすみれ(芳根京子)は、疎開先の近江で姉のゆり(蓮佛美沙子)とつらい生活を送っていた。義兄の潔(高良健吾)が戦地から帰ってきたことをきっかけに、神戸に帰って紀夫(永山絢斗)を待つことにしたすみれだったが、生活に困窮していく。新しい道を模索したすみれは、靴屋・麻田(市村正親)の店の一角で、手作りの手芸品の販売を開始する。しかし、趣味の品が売れることはほとんどなかった。ある日、外国人から外国式おむつの存在を知ったすみれは、昔、外国人を相手に育児講習会を開いていた看護婦の明美(谷村美月)を思い出して明美を探す。

<第4週>四つ葉のクローバー(10月24日(月)~10月29日(土))

 生活のため外国式おしめを作って売ろうと考えたすみれ(芳根京子)は、明美(谷村美月)に作り方を教えてもらおうとするが、相手にされない。そんな時、母親となった女学校時代の親友の良子(百田夏菜子)・君枝(土村芳)と再会。すみれは、子供のための品物を作って生活していこうと誘うが、二人は戸惑う。その後、潔(高良健吾)らの協力で、良質の生地を手に入れたすみれは、外国式おしめを売ることに成功する。さらに子供用ドレスを作ってほしいと依頼され、生地に困ったすみれは、母の形見のウエディングドレスを材料にする。その熱意に打たれた良子と君枝も協力を決める。完成したドレスに感激する女性を見てすみれは、改めて特別な品「べっぴん」を作る喜びをかみしめる。

<第5週>お父さまの背中(10月31日(月)~11月5日(土))

 すみれ(芳根京子)は、仲間の明美(谷村美月)、良子(百田夏菜子)、君枝(土村芳)と協力して、麻田(市村正親)の店の一角を借り「ベビーショップあさや」をオープンする。テーブルクロスを作るという新しい仕事も舞い込むが、良子の夫・勝二(田中要次)が戦地から帰還。良子は店を辞めてしまう。さらに君枝の夫・昭一(平岡祐太)も帰還し、君枝までもが店を離れることに。一方、闇市ではゆり(蓮佛美沙子)が、闇市の元締めと対じするが鼻であしらわれてしまう。傷ついたゆりの姿を見た五十八(生瀬勝久)は、父の背中をみせるため自ら立ち上がる。

<第6週>笑顔をもう一度(11月7日(月)~11月12日(土))

 君枝(土村芳)は夫・昭一(平岡祐太)に働いていたことを知られてしまう。体調も崩し結局店を辞めてしまうことになる。一方、すみれ(芳根京子)は突然店を辞めた良子(百田夏菜子)のことも気にかけていた。良子の夫・勝二(田中要次)に会い、夫婦の思い出の品を取り戻すよう提案。すみれの気持ちに動かされた勝二は、再び良子と向き合う。そんなある日、すみれのもとを戦地から帰らず行方不明となっていた夫・紀夫(永山絢斗)の両親が訪れる。

<第7週>未来(11月14日(月)~11月19日(土))

 すみれ(芳根京子)の元を紀夫(永山絢斗)の両親が訪れ、「息子は戦死したかもしれない、どうかもう待たないでくれ」と懇願する。麻田(市村正親)は、商店街の空き店舗に、ベビーショップを移転したらどうかと提案する。栄輔(松下優也)はすみれに思いを告げようとすると…。新しい店は、すみれたち4人の名前から一文字ずつとり「キアリス」と名付けられた。

<第8週>止まったままの時計(11月21日(月)~11月26日(土))

 紀夫(永山絢斗)がようやく帰還した。オープンした「キアリス」は、初日から大盛況。紀夫は再び坂東営業部で働くことになるが、すみれ(芳根京子)にお店を辞めるように言う。困惑するすみれに栄輔(松下優也)は、紀夫にきちんと「自分にとっての店は何なのか」伝えるべきだと助言する。

<第9週>チャンス到来!(11月28日(月)~12月3日(土))

 終戦から3年、ベビーブームの影響でキアリスは順調に客足を伸ばしていた。すみれ(芳根京子)は大急百貨店への出品を決めるが、量産のために工程を省略するようにと言われる。我慢ができなくなったすみれは、これまでの話はすべてなかったことにしてほしいと声をあげる。

<第10週>商いの聖地へ(12月5日(月)~12月10日(土))

 大急百貨店へのキアリスの出店を断ったすみれ(芳根京子)は、試しに10日間だけ大急百貨店で委託販売をすることを受け入れる。店は次第に繁盛していく。大きな成功をおさめたすみれたちに、社長の大島はさらに驚くべき提案をする。一方、紀夫(永山絢斗)は洋裁教室の説明会を担当することになった。ある日、司会を任された紀夫は、緊張のあまり客を前にして突如倒れてしまう。

<第11週>やるべきこと(12月12日(月)~12月17日(土))

 すみれ(芳根京子)たちは、キアリスの支店を正式に大急百貨店に出すことを決める。すみれは仕事に加え、家事や育児も全て自分がこなしていくことを決意する。ある晩、紀夫が家に帰ると、部屋は暗く誰もいない。心配した紀夫は探しにいくが、すみれの姿はみつからない。仕事のトラブルで朝帰りとなったすみれに、激しく感情をぶつけてしまう。仕事と家事の両立に悩むすみれは、過労で倒れたことをきっかけに、ある決意を固める。

<第12週>やさしい贈りもの(12月19日(月)~12月24日(土))

 キアリスを辞めると決めたすみれ(芳根京子)は、着々と仕事の引き継ぎを進めていく。クリスマスの日、すみれはさくらと共にキアリスのクリスマスパーティーに参加する。すみれのキアリスへの思いを痛いほど感じ続けていた紀夫は、すみれと集まった人々の前で重大な決断を宣言し、皆を驚かせる。

<第13週>いつものように(12月26日(月)~12月28日(水))

 すみれ(芳根京子)たちは、大急の社長・大島(伊武雅刀)からの提案を受け、将来を見据えてキアリスを株式会社にすることを決める。経理として正式にキアリスに入った紀夫(永山絢斗)は、キアリスの雰囲気を変えようと意気込む。すみれは、キアリスを子供のものなら何でもそろう総合店にしようとひらめく。

<第14週>新春、想いあらたに(1月4日(水)~1月7日(土))

 紀夫(永山絢斗)や娘のさくらと一緒に近江の坂東家でお正月を過ごすすみれ(芳根京子)。おめでたい元日になるはずが、すみれの父・五十八(生瀬勝久)と義兄・潔(高良健吾)は、会社の経営方針で意見が合わず討論になるなど、重々しい空気もあった。

 一方すみれたちは、新年早々からキアリスを子供用品の総合店にするための準備を進めていく。

<第15週>さくら(1月9日(月)~1月14日(土))

 子供服店・キアリスでは、急激に売り上げが落ちるという事態が起きていた。原因はわからないままだったが、ある日キアリスの商品の偽物が出回っているという情報が入り、真偽を探ろうとすみれ(芳根京子)たちはその店に乗り込んでいく。

 そして時代は進み、昭和34年。キアリスは10周年を迎え、全国的に知れ渡る企業に成長。すみれの娘・さくら(井頭愛海)と君枝(土村芳)の息子・健太郎(古川雄輝)は15歳になっていた。さくらはプロを目指すドラマーの河合二郎(林遣都)に恋心を抱き、演奏する姿を見ようとナイトクラブを訪れる。

<第16週>届かぬ心(1月16日(月)~1月21日(土))

 すみれ(芳根京子)は、さくら(井頭愛海)が幼なじみの健太郎(古川雄輝)、龍一(森永悠希)と3人でナイトクラブに行っていたと知り、激しく怒る。親の心配をよそにさくらは大人の世界へ進んでゆく。再び、帰りが遅いさくらを心配したすみれも、ナイトクラブを訪れるが、そこで偶然居合わせた栄輔(松下優也)と10年ぶりに再会する。驚きと混乱の中で、さくらを強引に家に連れて帰ろうとするすみれ。しかし、さくらはそんなすみれに反発する。言うことを聞かないさくらにいらだったすみれは思わず手をあげてしまう。翌朝、和解しようとすみれがさくらの部屋に入ると、ベッドはもぬけの殻だった。

<第17週>明日への旅(1月23日(月)~1月28日(土))

 すみれ(芳根京子)は、任されていた大急百貨店の展示のテーマを「女の一生」に決める。潔(高良健吾)は紀夫(永山絢斗)から、昔一緒に働いていた岩佐栄輔(松下優也)が神戸に戻ってきたという情報を得る。若者向けの女性ファッションに進出しようと事業を進めていた潔は、洋服店「エイス」を経営している栄輔も同じ分野に進出しようとしていることを知り、ふたりは対決必至な状況に…。そしてすみれは、家出中のさくら(井頭愛海)に会いに行く。

<第18週>守るべきもの(1月30日(月)~2月4日(土))

 すみれ(芳根京子)は、キアリスが作る赤ちゃん用の肌着の素材となるメリヤスを卸してくれるよう「エイス」を率いる栄輔(松下優也)に頼むが、冷たく断られてしまう。一方、すみれの娘・さくら(井頭愛海)は家出を続けていた。ある日、ジャズ喫茶「ヨーソロー」で働いていた五月(久保田紗友)が、何も言わずに姿を消してしまう。恋人の二郎(林遣都)は五月を探すがみつからない。五月の代わりに「ヨーソロー」で働くようになったさくらは、二郎に思いを募らせていく。そんな時、すみれは行方知れずとなっていた五月をみつけ、彼女が妊娠していることを知ってしまう。

<19週>希望(2月6日(月)~2月11日(土))

 すみれ(芳根京子)は無断で東京に行こうとしていた娘のさくら(井頭愛海)をジャズ喫茶「ヨーソロー」でみつける。ドラム奏者としてプロを目指していた二郎(林遣都)は東京のスカウトから誘いを受けていたが、すみれに促されたさくらから、恋人の五月(久保田紗友)が妊娠していることを伝えられる。そんな中、父・五十八(生瀬勝久)が倒れる。目を覚ました五十八は、すみれらに思いを伝える。五十八の思いを知ったさくらは、「キアリス」でアルバイトを始める。

<20週>旅立ちのとき(2月13日(月)~2月18日(土))

 すみれ(芳根京子)、明美(谷村美月)、良子(百田夏菜子)、君枝(土村芳)は、15歳の時から「キアリス」のために働き続けてくれているタケちゃん(中島広稀)に縁談相手をみつけようと奔走する。しかし、タケちゃんの心の中には未だに明美への思いがくすぶっていた。タケちゃんは酔った勢いでその気持ちを後輩の中西(森優作)に漏らしてしまう。またたく間にその思いは周囲の知るところとなり、後押しを受けたタケちゃんは再度明美に告白することに。そして秋になり、さくらと健太郎(古川雄輝)は大学受験の願書提出の時期を迎える。

<21週>新世界へ、ようこそ(2月20日(月)~2月25日(土))

 昭和44年4月。秋になり、「キアリス」の新入社員採用面接が実施される。その候補者の中に娘のさくら(井頭愛海)や君枝の息子・健太郎(古川雄輝)の姿を見つけ驚くすみれ(芳根京子)たち。試験は公平性を保つため無記名で実施。果たしてその結果は…。一方、万博の開催を受けて沸き立つ大阪。万博関連の番組には大手商社「KADOSHO」社長・古門(西岡德馬)と「エイス」の社長・栄輔(松下優也)の姿が。栄輔は時代の波に乗り、大きく成長していた。

<22週>母の背中(2月27日(月)~3月4日(土))

 キアリスですみれ(芳根京子)たちの下で働くようになったさくら(井頭愛海)は、念願のデザイン部に配属される。君枝(土村芳)の息子・健太郎(古川雄輝)は開発宣伝部に配属される。一方、大阪万博が開幕。日本中が沸き立つ中、すみれと紀夫は大手商社の「KADOSHO」を訪れる。そこで待ち受けていたのは、「エイス」社長として時代のちょうじとなっていた栄輔(松下優也)だった。「KADOSHO」社長の古門(西岡德馬)の協力を得て、万博のショーを演出することになっていた栄輔は、子供たちに着せる衣装の提供をキアリスに依頼する。突然訪れた大仕事に、すみれたちは奮起する。

<23週>あいを継ぐもの(3月6日(月)~3月11日(土))

 すみれ(芳根京子)・紀夫(永山絢斗)夫婦と君枝(土村芳)・昭一(平岡祐太)夫婦は、さくら(井頭愛海)と健太郎(古川雄輝)の結婚を受け入れようとする。それから3年後、キアリスの開発宣伝部長となった健太郎は、売り上げを上げるためキアリスを大きく変えようと奔走する。健太郎の言動に違和感を抱くすみれだったが…。一方、オイルショックによって日本の経済は大混乱に陥った。栄輔(松下優也)のエイスは資金繰りに失敗してしまう。エイスはついに破綻し、社長の栄輔も行方をくらませる。

<24週>光の射す方へ(3月13日(月)~3月18日(土))

 エイスが倒産し、家も仕事も失った栄輔(松下優也)は、潔(高良健吾)とゆり(蓮佛美沙子)の家に居候の身となっていた。一方、すみれ(芳根京子)は「創業の思いを次世代に引き継ぐための映画を作ろう」と提案し、キアリスの映画作りが始まることに。そんな時、明美(谷村美月)は会社が倒産して生気を失っていた栄輔と再会し、映画作りに誘う。映画制作と並行して、「日本中の男をおしゃれにしたい」という栄輔の志を引き継ぎたいと考えていた潔は、ある新事業を始めようとしていた。

<第25週>時の魔法(3月20日(月)~3月25日(土))

 すみれ(芳根京子)たちは、東京の銀座に空きビルを借り、子育てに必要な物ならなんでもそろうキアリスの「ワンダーランド」を作ろうと意気込んでいた。

 一方で、自分たちの思いが健太郎(古川雄輝)、さくら(井頭愛海)ら次世代のキアリス社員たちに受け継がれていることを確信したすみれたちは、キアリスを引退しようと考える。それを知った栄輔は、明美(谷村美月)に長年抱えていた思いを告白する。すると明美から思いもよらぬ提案が飛び出し…。さらに、キアリスを引退したすみれたちのもとを、ある女性が訪ねてくる。持参した風呂敷を広げると、中から現れたのは28年前に店の看板代わりに作ったワンピースだった。

<第26週>エバーグリーン(3月27日(月)~4月1日(土))

 昭和59年。ある日、すみれ(芳根京子)、明美(谷村美月)、良子(百田夏菜子)、君枝(土村芳)は、健太郎(古川雄輝)に呼ばれ食堂「レリビィ」に集まっていた。そこで健太郎が取り出したものは、アメリカから送られてきた一通の手紙。4人は、手紙の中に出てきた「エイミー」という名前を聞いてはっとする。一方、塾に通っていたはずの藍(渡邉このみ)が、数日間も塾に通っていなかったことがわかり、心配するすみれとさくらたち。話を聞こうと帰りを待つものの、夜になっても帰りがない。警察に連絡し、手分けして探すことになるが、すみれは一人自宅で待機することに。藍の無事を必死で祈るすみれだったが、ふと懐かしい声が聞こえてきて…。「べっぴんさん」最終週。