ノンスタ井上裕介「少しずつ…前向きに」一問一答

謝罪会見で涙を拭うNONSTYLE井上裕介(撮影・鈴木正人)

 昨年12月に、車を運転中にタクシーに衝突し運転手にけがを負わせた上、逃走したとして道交法違反(ひき逃げ)と自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で書類送検され、不起訴処分となった、お笑いコンビ「NON STYLE(ノンスタイル)」の井上裕介(37)が7日、都内の吉本興業東京本部で会見を開いた。

 井上が約47分、行った謝罪会見の主な内容は以下の通り

 私が16年12月11日に事故を起こしてしまいまして、昨日、検察庁から発表があったように不起訴になりました。本来ならば、すぐにご迷惑をかけた方に直接、謝罪したかったのですが、芸能活動の停止、自宅謹慎ということもありまして直接、ご迷惑をかけた皆様に謝罪することが遅くなってしまい、まことに申し訳ございません。処分が出たこのタイミングで会社と話し、こういう場をもうけさせていただきました。

 -どんな事故だったか

 交差点の手前で、目の前のタクシーを追い抜こうとした時に、僕自身、ひょっとしたら当たったのではないかなという感じはあったのですが、どこか自分の都合のいい解釈をしてしまい、当たっていないのではないかと思い込んでしまい、その場を離れてしまいました。感覚と言いますか…運転していまして、少し違和感、おかしいなという感覚がハンドルから伝わって、ひょっとしたら当たったのではないかと。音は聞こえなかったというか、車内に音が流れていたのもありまして、そこまではっきり、明確な音は僕自身は認識できなかった。

 -同乗していたスーパーマラドーナの武智も聞こえなかった?

 武智君は、うっすらそういう音が聞こえたみたいで、先の信号で「当たったんじゃないか? 降りて確認した方がいいんじゃないか?」と言っていただいたにも関わらず、すぐ確認することを怠り、その場を離れてしまいました。少し、動揺していたのもありまして、右折レーンに入り、後ろに相手のタクシーの方が止まった時、もし当たっていたのなら運転手の方が降りてこられるだろう、「この先で止めて、話し合いしましょうか」とか、おっしゃってこられるだろうと、僕が都合のいいように思ってしまい、後ろのタクシーから動きがなく、クラクションも鳴らされることもなく、やっぱり当たってなかったんじゃないかと、都合のいいように思い込んでしまい、その場を離れてしまいました。すぐ、当たったと思った時に確認しないといけないですし、軽率な行動がたくさんの人のご迷惑をかけたと思い、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 -逃げた?

 逃げたという意識はないです。

 -止まっていたのはどれくらい?

 赤信号の間は、ずっと止まっていました。

 -信号が赤でなかったら、その場で止ることはなかった?

 -そんなことはなく、武智君に「当たったんじゃないか?」と言われた時に、ひょっとしたら、そういうこともあるかもな…止まらなければという気持ちがあった。

 -世間を騒がす、という思いはよぎった?

 その時にそう思ったとかではなく、自宅の駐車場に車を止めた時に、こすれたような跡があったのを確認しまして、違和感はひょっとしたら当たっていたんではないかと思い、結果的に現場から離れてしまったこともあり、大変なことをした。どうしたらいいんだろうという気持ちになったのは事実です。

 -誰かに相談しなかった?

 正直、どうしようという気持ちと、動揺している気持ちと、いろいろな気持ちがいっぱいで、相談するまで頭が回らなかった。夜中でしたので、誰かに電話して、聞くこともご迷惑がかかると思った。

 -警察から連絡が来て、ピンときた?

 警察から電話がかかってきました。「井上さんですよね。何でかかってきているか、お分かりですよね? 自宅の方に伺います」と言われて、その時には、やっぱり先ほどのは当たっていたんだと…自宅で(警察を)待っていました。そのまま警察にいきまして、どういう状況だったかを説明するよう言われました。

 -被害者のケガは

 診断書によりますと全治2週間くらいと聞いております。事故をした直後、何度か電話をさせていただき、お手紙をかかせていただきまして直接、謝罪する場を相手の方にもうけていただくという話で、3日後に直接お会いすることが出来ました。「本当に申し訳ないことをしてしまいました。体の方は大丈夫ですか?」と話をさせていただき、相手の運転手の方が、本当に優しい方で、僕が泣きながら謝罪しているのを見て、100%僕が悪いのに涙を流され「謝罪の気持ちは、井上さんから十分に伝わりました。早く劇場やテレビで漫才している姿を私に見せてください。そして私を笑わせてください」とありがたい言葉をいただきました。その時、本当に涙が止まらなくて…それと同時に、僕は、こんなにお優しい方に、本当に申し訳ないことをしてしまったんだなと思い、自分自身へのいら立ちもふがいなさもありましたし…申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

 -被害者の現状は

 (事故の3日後に対面した際)相手の方から「次の日から仕事復帰するので、井上さん、私のことは、もう心配しないでください」という温かいお言葉をいただきました。その時に、相手の方が「もう、これで井上さんとお会いするのも、連絡を取るのも、これを最後にしましょう」と言っていただきました。弁護士さんからも「相手の方が、そうおっしゃっているのに、執拗(しつよう)に何かをするのはご迷惑。相手が、あなたの仕事のせいで自分自身を責めてしまうのもあるかも知れない」と言われ、その場が、お会いする最後になりました。

 -治療費などは

 弁護士さんを通じて、こういうお値段になりますと言われ、しっかりお話ししました。

 -謹慎生活の間は

 自宅謹慎している間、1歩も外に出ない生活をしていました。

 -相方の石田の会見は見た?

 はい、見ました。相方の石田君にも、本当にたくさん迷惑をかけ、このことで「解散してくれ」と言われても仕方ないなと思いましたし。でも石田君が「井上の人生も、自分の人生の一部だ」と言っていただいて…申し訳ない気持ちでいっぱいです。ありがたかったですし、石田君には2度と、どんなことがあっても迷惑をかけてはいけない、何があっても感謝の気持ちは忘れてはいけないと思いました

 -石田に会見を開くことは報告した?

 「会見に行ってきます」と伝えました。

 -石田からは何と言われた?

 「ちゃんとしゃべって来い。被害に遭われた方、スーパーマラドーナの武智君にもご迷惑をかけたので、謝罪してこい」と言っていただきました。

 -謹慎中、バラエティー番組は見た?

 正直、謹慎直後は、やはりバラエティー番組は、なかなか見る気持ちにはなれなかったのは事実です。反省して、自分を戒める意味でも、そういう部分から目を背けてはいけないんじゃないかという気持ちもありまして、バラエティー番組、ご迷惑をかけた番組だったりを少しずつ見るようにしました。

 -一歩も出ないで食事はどうした?

 食事の面は、自宅から近所の後輩2人が食材を買ってきていただいたりお世話していただきました。1度、石田君も来ていただきました。

 -その時、石田からは何と言われた?

 もちろん、厳しい言葉もたくさんいただきましたし、おしかりの言葉もいただきました。「芸人としてはもちろん、1人の同級生として、井上のこういうところが良くなかったんだと。今までも、そういう部分から目を背けてきたやろ。これを機会に性根の部分から変えていこうぜ」という話をしました。

 -石田が1人で仕事を頑張っている姿は見ていたか

 はい。番組を見ていて、石田君が僕の名前を言っていただいたり、石田君が1人で「ノンスタイルは2人いるんだよ」って、頑張っている姿を見て、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 -2人で舞台に立つのは、いつごろ?

 明確に復帰の時期は決まっておりませんし…やはり、まず、本当に今回、たくさんの方にご迷惑をおかけしてしまったので、自分の口から、自分の声で、しっかり謝罪の気持ちを伝えたいというのが第1と思うので。石田君や世間の方々が、お許しいただけるとなった時に、初めて会社と話し合い、どういう形で、いつ復帰するのかは決めていけたら。3カ月間、自宅謹慎ということもありまして、直接謝罪していない人だったり、場所がある。そこから優先したい。テレビ番組以外でも会社のスタッフ、仕事にかかわらず、自分が迷惑をかけたところ全てに謝罪したい。

 -先輩から言葉はもらった?

 吉本の先輩からも、たくさんのおしかりを受けた。印象に残っている人を挙げるのも…全ての方の言葉が胸に刺さっていますし、全ての先輩からいただいた言葉が、僕の中では大切。

 -3カ月の謹慎期間で、お笑い芸人に対する考え方は変わったか?

 見ていただける方、応援してくださる方がいらっしゃって、初めてお笑いという仕事が成立いたしますし、ファン、テレビをご覧になっているたくさんの方に不快な思いをさせ、申し訳ない気持ちでいっぱいです。だからこそ、いつになるのか分かりませんが、お仕事をさせていただく時は、見ていただく方への感謝を忘れず1つ1つ頑張っていきたい。今後、石田君といろいろ話して、いろいろ考えていけたらなと思います。

 -復帰したらプロとして切り替えてお笑いが出来るか?

 やっぱり、ノンスタイルを見たくて劇場などに足を運んでくださる方も、チケット代を払って足を運んでいただく。見て良かったなと思ってもらえるように、漫才やお仕事を一生懸命、頑張りたい。いつか…タクシーの運転手さんにも、笑っていただけるように自分自身…自分1人の力では何分、力及ばない部分もあると思いますので、相方の石田君に力を借りて、いろいろな方に笑っていただけるように頑張りたい。

 -一歩も外に出ない、3カ月の謹慎期間は長かった?

 一歩も…警察に言ってお話ししなければいけない時以外は…。短い、長いという感覚自体がなかったと言いますか。自分自身、もうこのまま、ずっと外に出ることはないのかもな…みたいな気持ちでいました。

 -久々の外の空気は

 本当に申し訳ないな、という気持ちでいっぱいでしたし、今日、自分の口から皆様に謝罪の気持ちを伝えることが出来て、謝罪する場を与えていただいて、良かったなと思っています。

 -漫才はやりたい?

 もちろん…石田君、そして世間の方々に許していただいた時に、漫才をもう1度しっかりやりたいなと思いますし、謹慎している間も、ファンの方々がSNSなどでコメントをくださった。「ずっと待ってますので」というコメントなども、いただきまして…そういうファンの方々のためにも、しっかりした漫才を石田君と一緒に頑張れたらなと思います。

 -あらためて石田への思いは

 石田君には、本当に申し訳ないことをしました。石田君が「井上の人生は、僕の人生の一部でもある」と言っていただいた。逆もそうで、石田君の人生は、僕の一部でもあるので、そういう面では今回、石田君の人生の面で本当に迷惑をかけてしまったと思いますし、これから石田君にも許していただき、いつか…何年後、何十年後になるか分かりませんけども、いつか石田君から「相方が、井上で良かったな」と言ってもらえるように頑張りたいと思います。

 -3カ月間、飲酒の量が増えたと聞いているが

 お酒に関しては、やはり事故直後…正直、食事ものどを通らず、睡眠することも出来ない日々が続いていまして…そういう面で、お酒に頼り、睡眠を促すようなことはありましたが、今年に入り、自分の気持ちも少しずつ落ち着いてきてからは、やはり体の面で、健康面を本当に気遣ってくれる先輩方もいましたし。石田君の方からも、僕自身もともと謹慎以前、のどの調子が良くなかったこともありまして「謹慎期間で、のどの方、治せよ」と言っていただいたということもあったので、今年に入ってからはお酒の量が増えることはなかったです。

 -前に進める?

 やはり今回、本当にたくさんの方にご迷惑をおかけしてしまっているので、じゃあ、すぐに気持ちを切り替えて、というわけにはいきませんけれども、少しずつ、少しずつではありますけども…前向きに、自分自身、0から始められるように頑張れたらなと思います。(取材陣に)寒い中、申し訳ございませんでした。すみませんでした。